日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■「秋分の日」の四方山話
「先祖をうやまい、なくなった人をしのぶ」
国民の祝日に関する法律に記された祝日、秋分の日の内容です。
政教分離の立場から彼岸会(ひがんえ)という仏教行事の名前は登場しませ
んが、内容を見れば「秋の彼岸の中日」が祝日になったということは一目瞭
然ですね。
◇元「秋季皇霊祭」
秋分の日は終戦前は「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」という祭日で
した。
余談になりますが、現在でも「祝祭日」という言葉を使うことがあります。
これは、「祝日と祭日」ということなのでしょうが現在の祝日法にはそうし
た区別はなく全て祝日です。終戦前の法律では国としての祝いの日である祝
日ともっぱら皇室の祭事にかかわる祭日があり、区別されていましたので今
でもその当時の「祝祭日」という言葉が残ったのでしょう。
ちなみに、秋分の日の前身である秋季皇霊祭は「祭日」でした。
この秋季皇霊祭ですが、皇祖を祭る行事で元々は宮中でも行われた彼岸会を
祭日としたものです。彼岸会は先祖を祭る仏教行事ですから内容は同じ。た
だ国家神道を推し進める上では仏教行事であっては困るので、秋季皇霊祭な
どというような名前を付けて仏教行事に神道行事の衣を着せたといったとこ
ろのようです。
◇秋分の日は移動祝日
秋分の日は春分の日と同じく太陽の位置と関係する祝日です。
基本的には太陽黄経が 180°となる瞬間を含む日である「秋分日」という日
が祝日となります。この秋分日はここのところ、大体9/23となるため、秋分
の日は9/23だと思い込んでいる方もいらっしゃいますが、こうした事情から
この日以外の日が秋分の日となることもあります。
今後のことを考えると 4年後の2012年(平成24年)の秋分日は9/22。
多分秋分の日も秋分日にあわせて9/22となることでしょう。
◇秋分の日と国民の休日
「国民の休日」と呼ばれる日があります。
新聞などでも当たり前に使われるため、これが正式な名前だと思っている方
がいらっしゃるようですが、これは誤り。
祝日法には単に「休日」だけ書かれていて「国民の休日」という名称は見あ
たりません。ただこれだと他の休日と区別がつかないため、国民の休日と呼
び習わされているだけです。
元々は 5月のゴールデンウィークの隙間( 5/4)を埋めるために考えられた
と思われる休日です。ところが2007年以降は 5/4が「みどりの日」として祝
日の仲間入りしてしまったため、国民の休日はカレンダーから姿を消してし
まいました。
この姿を隠した国民の休日ですが、再び姿を現す年があります。それは来年
の9/22。
2007年以降、移動祝日となった敬老の日と秋分の日の間に、国民の休日の規
定に合致する日が出来るのです。これによって来年2009年は
9/20 日曜日
9/21 敬老の日
9/22 休日 (※国民の休日)
9/23 秋分の日
という、秋のゴールデンウィーク(シルバーウィークかな?)とでも言うべ
き連休が出来ます。連休は嬉しいですけれど、残念ながらこうした条件を満
たす日は珍しく、2009年以降は2015年に登場するだけです。残念。
以上、今日は秋分の日に関する四方山話でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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