日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■月と月齢にまつわる質問への答え
10/30 「取り上げて欲しい話題、或いは「月の年間朔望表」に関する質問」
を英山華さんから頂きましたので、今日のこぼれ話にはこれを取り上げます。
なお、取り上げる際に質問は掲載にあわせて若干の編集をさせ
て頂きました。ご了承願います。
◇もし、満月を飛行機で追って眺めたとしたら
> もし仮に、満月の時刻に合わせて日本から東方に向って飛び立ち、時差1
> 時間に見合う時速(経度差15度:日米間を約10時間)で飛行すれば、飛行
> 中、飛行機の窓からは継続的に満月を観続ける事が出来るだろうか?
> 例えば「10時間満月を観続ける飛行機旅行」なる企画は可能でしょうか。
→まずこの方法で「10時間満月を観続ける飛行機旅行」は可能です。
満月ではありませんが、飛行機に載せた望遠鏡で普通であれば10分程しか観
測出来ない皆既日食を数時間観測するということが行われた例があります。
皆既日食ですから、「新月を見続けた」ことになります。
もっとも、月見程度であれば問題ないのですが観続けている10時間の間に満
月は満月ではなくなり、少しずつ欠け始めます。10時間ではなくて24時間飛
び続けたとしたら、飛行機は飛び始めた地点に戻って来ます。乗客はまだ月
を観続けているわけですが、その時見ている月は「十六夜の月」。これは飛
行機に乗らず、飛行機が飛び立った場所に立って普通に月を眺めている人が
眺める月と同じ形です。あと、月の見える位置もちょっと(約12度ほど)移
動しているはずです。
◇「月の年間朔望表」の月齢についての質問
> 月の朔望(満ち欠け)一覧(年間)(http://koyomi8.com/sub/sakubou.htm)
> によれば、月齢は
> 2008.10.07 ・・・ 8.036 , 2008.10.15 ・・・ 15.493
> 一方、月齢カレンダー(http://koyomi8.com/moonage.htm)及び
> 月出計算(http://koyomi8.com/sub/moonrise.htm)では、
> 2008.10.07 ・・・ 7.8 , 2008.10.15 ・・・ 15.8
> となります。数値が違うのは何故でしょうか?
→どちらの計算も日本時(世界時+9時間)での日時での計算値です。
さてこの二つの数値の違いですがそれはその数値を求めた計算の「時刻」が
異なるためです。
ご存じのように、月齢は新月の瞬間からの時間を日数であらわしたものです
から、同じ日であっても計算の時刻を 0時にするか、 5時にするか、12時に
するかで異なることになります。
月齢カレンダーや月出計算で表示している月齢はその日の「月齢の代表」と
なる値ということで、私の場合は「その日の正午」をこの代表値計算の基準
としています。
時折「新聞の月齢」と違うという指摘を受けることがありますが、この代表
値を計算する時刻を何時にするかに決まりがあるわけではないので、ある人
は 0時を、ある人は12時を、またある人は世界時に合わせるため日本時の 9
時を代表値を計算する時刻としているといった違いがあるためです。
こよみのページで、一日の月齢の代表値を求める場合は12時を使っています。
ちなみに、月齢カレンダーの始めの方に、
「表中の月齢はその地の標準時正午(12時)の値です」
と書いているのですが・・・。
これに対してもう一方の、月の朔望(満ち欠け)一覧(年間)は、天文学的
な、新月・上弦半月・満月・下弦半月の瞬間(太陽と月の視黄経の差がそれ
ぞれ 0°・90°・ 180°・ 270°となる瞬間)が何時になるかを表示するペ
ージです。ですから表示されているのは「日付と時刻」です。今回の例では、
2008/10/07 18:04 ・・・ 8.036 , 2008/10/15 05:02・・・ 15.493
月齢カレンダー等での月齢の計算時刻は、12時です。上に示した月の朔望一
覧の月齢と時刻から同日の12時の月齢を計算すれば(10/7の例)、
10/07 12時の月齢 = 8.036 + (12 - (18 + 4/60)) / 24 = 7.783 ≒ 7.8
となります。
新聞の月齢欄の話しを取り上げましたが、新聞や天気予報などで「明日の月
齢は 7.8です」という具合に、それが時刻で変化するといった説明を省略し
た状態で為されるため、どうも月齢とは一日中変化しないものと思い込まれ
ている節があります。
月齢はその瞬間瞬間違った数値となると解っていれば、不思議でも何でもな
い話しなのですが。
以上、「二つの疑問」に答えました。
英山華さん以外にも、同じような疑問をお持ちだった方もいらっしゃったと
思いますが、いかがだったでしょうか?
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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