日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■オリオンとさそり(蠍)
昨夜(12/15) は星を見上げながら道を歩いていました。
歩いていた道はちょうど南北に走る道で、時間は午後10時頃。
私は南に向かって歩いていましたから、ちょうど歩いて行く方向にオリオン
座が昇っていました。
オリオンが南中するまではもう少しかかりそうで、南中する頃は直立(?)
するオリオンが少し斜めになっていました。
そろそろかな、仕方ない
などとぼやきながら起きあがっている途中でしょうか。
◇蠍(さそり)座生まれ
昨夜、ぼやきつつ起きあがっていたオリオンといえば、サソリに刺されて亡
くなったことになっています。またサソリも、このオリオンに踏みつけられ
てやはり亡くなりました(神話の中での話)。
こうした経緯があったので今でもオリオンとサソリはお互いを避けて、同時
に空に昇らないようになったと言われます。
昨夜は、オリオンがぶつぶつ言いながらも空に昇っておりましたから、当然
サソリは何処を探しても見つかりません。
「何処を」と言っても草むらや、朽ち木の皮を探したわけじゃ、もちろんあ
りません。夜空です、夜空。
さそり座と言えば、その胴体中央に真っ赤なアンタレスを戴く星座で、よる
この星座が見やすい季節はと言えば、夏です。
さそり座は「夏の銀河」の畔にある星座です。
ところでこのメールマガジンをお読みの方の中にはきっと、
「私は、さそり座の女(男)よ」
という方もいらっしゃることでしょう(確率からいえば1/12はそうなるはず)。
と言うことはです、さそり座の女(男)の皆さんは、自分の誕生日の頃にい
くら夜空を見上げても自分の誕生星座を見つけることは出来ないということ
ですね。
見つかるのはサソリにとっては宿敵のオリオンの姿ばかり。
残念でした。
◇誕生星座は昼間の星座?
さそり座生まれの話でもお解りいただけたように、誕生星座とはその人が生
まれた時期には「昼間の星座」となっています。
よって、自分の誕生日の頃に、夜空に自分の誕生星座を見つけることは出来
ません。
現在の誕生星座がもとは、季節を知るために生まれた暦の上の目盛りの役割
をはたすもので、その季節季節の「太陽が位置」を表したものだったことを
考えれば、これは当然のことなのですが、今はそうした本来の意味が忘れら
れてしまったため、
なぜ誕生日に誕生星座は見えないの?
と不思議がられる結果となっています。
その時期に見えない星座を誕生星座にするなんておかしい、なぜです・・・
という怒り(質問?)メールを頂いたこともあるのですが、そんなこと、私
にいわれても。
◇参商
【参商】を辞書で引くと、
「遠く引き離されて会うことが出来ないことのたとえ」
という意味が書かれています。
ここで登場した「参」と「商」は共に中国の星座名で、それぞれオリオン座
とさそり座に該当すると考えられます(中国の星座は、概してずっと小さな
領域を示していますので、オリオン座の一部、さそり座の一部というのが正
しいでしょう)。
古代の中国でもやはりこの二つの星座は空の両端にあって、遠く離れ一緒に
なることがないことが知られていたから、この二つをあわせた【参商】が、
遠く引き離されて会うことが出来ないたとえとなったのでしょう。
今日は、昨夜眺めたオリオンの姿から思い浮かんだ暦のこぼれ話でした。
昨日、起きあがりつつあったオリオンは今は地平線下でお休み中ですね。
そしてこのオリオンに替わってサソリが空に昇っているはずです。
もちろん見えませんけれど。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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