こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■「年末年始」のお役所の休日
 今年は今日、12/26 が御用納めという方も多いのでは。
 通常の年だと、12/28 が御用納めの日とされますが、今年は12/27,28が土日
 となったため、12/26 が御用納めと言うことになるわけです。
 尤も、この不景気の時代、そんな悠長なことは言っていられないという方も
 大勢いらっしゃると思いますけれど。

◇御用納め
 「御用納め」という言葉は、官公庁が 12/29〜1/3 の間、その業務を休むた
 め、12/28 を官公庁のその年の仕事納めの日としてこう呼んだことが定着し
 たものです。
 一般の会社でも、官公庁に倣って(?)この日を御用納め、仕事納めとする
 例が多く見られます。

◇12/29〜1/3は、なぜ休む?
 ある時、官公庁が12/29〜1/3の期間休むのは、

  この期間が年末年始の祝日だからですね

 と言われたことが有ります。
 この期間にも一応祝日はあるのですが、国民の祝日に関する法律にあるその
 祝日は、 1/1の元日のみで、他の日は祝日でも何でもありません。
 では、祝日でも無く日曜日でもないのに休むのは、勝手に休んでいるのかと
 言えばもちろんそんなことはありません。
 ちゃんと法律で決まっているのです。

 ・行政機関の休日に関する法律(昭和63年12月13日法律第91号)
 ・裁判所の休日に関する法律(昭和63年12月13日法律第93号)
 ・国会に置かれる機関の休日に関する法律(昭和63年12月27日法律第 105号)
 上記法律には、それぞれの第一条に次の条文があります。

  1.日曜日及び土曜日
  2.国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日
  3.12月29日から翌年の1月3日までの日(前号に掲げる日を除く。)

  3番目にありましたね、「12月29日から翌年の1月3日までの日」と。

◇12/29〜1/3は、なぜ休む? その2
 明治六年一月七日太政官布告第二号
 休暇日ヲ定ム

 自今休暇左ノ通被定候事
 一月一日ヨリ三日迄 六月二十八日ヨリ三十日迄 十二月二十九日ヨリ三十
 一日迄

 通称、「休暇日の件」と呼ばれる官吏の休暇日を定めた法律です(抜粋)。
 文面に「自今休暇左ノ通被定候事」なんていう古めかしい表現がありますが、
 それもそのはず、明治 6(1873)年の法律ですから今から 135年も前に作ら
 れた法律です。
 この法律によれば、

  1/1〜1/3 , 6/28〜6/30 , 12/29〜12/31

 が休暇日とされています。官公庁が年末年始に休むのはこの中の1/1〜1/3と
 12/29〜12/31の休暇日が現行の法律にも踏襲された結果と考えられます。

◇6月末の休みの行方
 年末年始の官公庁の休みがこの古い古い法律に則ったものだというのは判り
 ましたが気になることが一つ、この法律にある

  六月二十八日ヨリ三十日迄

 の休暇日は何処へ行ったの?
 実はこの部分は後に出された太政官布告によって取り消されているのです。

 明治六年六月二十三日太政官布告第二百二十一号
 第二号布告中六月二十八日ヨリ三十日迄ノ休暇取消

 何とも残念。それにこの取り消しの太政官布告の日付を見ると明治六年六月
 二十三日となっていますから、「休暇日の件」が発布されたのと同じ明治六
 年、しかも六月末の休暇日が実施される直前の6/23にこの取り消しの布告が
 なされていますから、結局6/28〜6/30の休暇は一度も陽の目を見ることなく
 消えて行ってしまったのでした。

 本日は、少し早めではありますが明治 6年から続く役所の御用納め。
 本日が仕事納めとなる方々には、一年間お仕事ご苦労様でした。
 また、仕事納めはまだまだ先だという皆さんには、今年ももう一頑張りお願
 いします。

 ちなみに私はと言えば、申し訳ありませんが本日やはり、仕事納めでござい
 ます(「日刊☆こよみのページ」は明日も休みませんのでご安心を)。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック