日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■「事始め」と「事納め」
本日 2月 8日は「事始め」の日です。
事始めの日にはもう一つこの日と違う日、12月 8日とする地域もありますが
この違いは始める「事」が何であるかの違いによります。
◇事の八日(ことの ようか)
2月 8日と12月 8日をまとめて「事の八日」と呼びます。
「事の八日」とはこの日が事始めの日でありまた事納めの日でもあるからで
す。
既に書いたとおり事始めの日を 2月 8日とする地域と12月 8日とする地域が
有ります。この日付の違いは、この時に始める「事」が神の「事」なのか人
の「事」かという違いです。
12月 8日を事始めとする考えは、年神を迎えるための正月行事(準備から後
片づけまでを含め)を始める日とする考えです。つまり年越しの「神事」が
始まる日です。
一方、 2月 8日を事始めとする考えは、年神を迎えるための正月行事が終わ
り、農作業といった人としての日常の営みが始まる日とする考えです。
これを見ると、事始めの日が一方では事納めの日でもある理由がわかります。
一年を年神を迎えるための一連の正月行事という「神事」の期間とそれ以外
の人間の日常の期間とに分けるとすれば、一方の始まりの日はまた一方の終
わりの日になるのです。
◇ 2月 8日の事始め
2月 8日はそろそろ暖かくなってくる頃。
え、まだ 2月は寒いよと思う方がほとんどだと思いますが、この 2月はこう
した行事の例に漏れず、長らく日本で使われてきた旧暦の暦での 2月でした
から春分の日を含む月、今の暦で言えば 3月頃にあたります。そう考えれば
暖かくなる頃と言っても不思議ではないでしょう。
春が来て暖かくなり、農作業が始まり、そして人間の一年の営みが始まると
いうのがこの 2月 8日の「事始め」なのです。
現在でもこの行事を旧暦で行っている地域も有るようですが、徐々に新暦の
日付で行われる事が増えてきています。これは、神の期間である正月の時期
やこれと対をなす人間の活動の期間が新暦の日付に則して行われるようにな
ってきたためと考えられます。ある種、自然な変化ですね。
◇お事汁
12月と 2月の「事の八日」には大根や人参、里芋やコンニャク、ゴボウとい
った作物を入れたお事汁(おことじる)というみそ汁を作って食べる風習が
有るそうです。中身を見るといかにも「農作業の始めと終わり」の日に食べ
る食べ物に相応しいものですね。
私自身はこの「お事汁」を食べる行事を経験した記憶が有りませんが、読者
の皆さんにはお事汁の風習が残る地域の方もいらっしゃると思います。
我が家のお事汁
といった情報が有れば教えてください。
このメールマガジンをお読みの他の方やWeb こよみのページの読者の方々に
も教えて差し上げたいので(今日作りました・・・なんて言う方がいらっし
ゃいました、是非お写真をご提供ください!)。
期待しています。
◇針供養の日
針供養は江戸時代に始まった行事だと言います。
事始めの日に旧い年に活躍してくれた古い針を神様に納め、豆腐などの軟ら
かい物に刺して休ませて、やがては塩をかけて土に返すのだそうです。
針供養が行われる神社として有名なのは淡島神社。ことに和歌山県の淡島神
社が有名です。
淡島神社の祭神は少彦名命(すくなひこなのみこと)で、常世の国から渡来
し、大国主命(おおくにぬしのみこと)の国造りに協力したとされる神様で
す(淡島神社には大国主命も祭られています)。
少彦名命は小さいけれど知恵と技術のある神様と言うことで、医療や技術、
芸事の神様ですので裁縫という古来から女性にとっての基本的な技術の守り
神でもあります。
ここからは推測ですが、元々は農事の仕事始めという性格の行事であった事
始めが江戸時代という本格的な都市を生み出した時代になって、農事と直接
かかわらない大量の都市生活者が生み出された時に、農事に代わるより普遍
的な生活サイクルの開始の象徴として「裁縫」が事始め、事納めの対象にな
ってこの針供養が始まったのではないでしょうか。どうかな?
さて、事始め(あるいは事納め)の本日、お事汁を食べたとか、針供養を行
ったとか、そう言う行事を行った人はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
私の場合、針供養は無いですが、お事汁は有ってもいいかな・・・と思って
います。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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