日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■本の日と、二人の文豪の命日
今日の記念日データで既に御紹介したとおり、今日4/23は世界本の日。
一時、本の売り上げ向上を目指す書店を中心として、この日には親しい人に
本を贈りましょうと、書籍版のバレンタイン・デーともいえる
サンジョルディの日
の普及が図られたようですが、日本の本屋さんの目論見も空しく、定着する
ことなく消滅しつつあるようです。
◇文豪セルバンテスの命日
この世界本の日は、小説「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ(ラマンチャ
の騎士ドン・キホーテ)」を書いたスペインの文豪、ミゲル・デ・セルバン
テスの命日でもあります。
セルバンテスは1547/09/29〜1616/04/23の間生きたとされます。その生涯は
69年間。日数でいえば 25034日間の生涯ということになります。
69年間はいいとして、なぜわざわざ 25034日と書いたかというと、セルバン
テスの生きた間に、暦の世界では大きな改暦がなされたため、生年月日と没
年月日を表す暦が変わっていたからでした。
生まれたときにはユリウス暦、無くなったときはグレゴリウス暦。
もし改暦が無くてユリウス暦が続いていたとするとセルバンテスの没年月日
は1616/04/13となっていたはずです。
◇文豪シェークスピアの命日
この世界本の日、実はもう一人の文豪の命日でもあります。
その文豪とはウィリアム・シェイクスピア。セルバンテスには申し訳ないで
すが、知名度からするとこちらの方に軍配があがりますね。
シェークスピアの生没年月日は1564/04/26(?)〜1616/04/23とされています。
51歳(ないしは52歳)の生涯ということになります。上記の例に倣って日数
も計算すると 18990日となります。
生年月日に (?)がつけたのは、この日付は洗礼を受けた日の日付だからです。
当時は生まれてから三日以内に洗礼を受けるという習わしだったそうなので、
4/26かそれより少し前の日付の日に生まれていたということで (?)です。
通俗的な説では、1564/04/23生まれとするものもあります。これは、生没の
月日が同じとしたいからのようで、ちょっと眉唾っぽいですね。
◇二人の文豪は同じ日に無くなった?
お気づきかも知れませんが、セルバンテスもシェークスピアもその命日は同
じで
1616/04/23
となっています。
つまり、海を隔てたスペインとイギリスで同じ日にこの二人の文豪が亡くな
っているのです・・・暦の上では。
「暦の上では」という断り書きの理由は、この海を隔てた二つの国が使って
いた暦が違っていたので、二人の命日の日付は同じでも、同じ日では無かっ
たのです。
当時、スペインでは既にグレゴリウス暦への改暦が済んでいましたので、セ
ルバンテスの命日はグレゴリウス暦の月日です。これに対してシェークスピ
アの生きたイギリスがグレゴリウス暦に改暦をしたのは1752年のこと。 100
年以上も後の話です。そのため、シェークスピアの1616/04/23と言う命日は
ユリウス暦での日付ということになります。
シェークスピアのこの命日を、グレゴリウス暦で表せば1616/05/03となりま
す。つまり、スペインでセルバンテスが亡くなってから10日遅れてイギリス
でシェークスピアが亡くなったことになります。
4/23の世界本の日にまつわる二人の文豪の命日と暦の話でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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