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■聖週間(受難週)
 【聖週間】(せい しゅうかん)
  復活祭前の1週間。
  復活前1週間におけるイエス=キリストの受難を記念して祈る期間。
  受難週。受難節。
   《広辞苑・第五版》

 と広辞苑の説明から始まった今日の暦のこぼれ話。
 要を得て簡に説明するには、辞書の解説が一番です。

 聖週間広辞苑の説明にもあるように復活祭(イースター)前の 1週間で、

  Holy Week , Passion Week

 と云います。Holyは、神聖な・聖という意味ですから、Holy Week を訳せば
 聖週間となります。
 Passion は情熱という意味の言葉ですが、キリストの苦難を表す意味もある
 ためPassion Weekは受難週と訳されます。

 復活祭はキリスト教においてはもっとも重要な祝日なのですが、ご存知のよ
 うに毎年日付が変わるやっかいな移動祝日でもあります。

 その上、カソリックやプロテスタント教会(「西方教会」などとも呼ばれる)
 と、ギリシャ正教やロシア正教(「東方正教会」などとも呼ばれる)とでは
 計算の方式が異なりますから、ますますやっかい。
 ただし今年(2010年)は西方教会、東方正教会どちらの方式で計算しても復
 活祭の日付は 4/4となります。
 聖週間はその一週間前ですから、2010年では3/28〜 4/3がこの期間というこ
 とになります。

 ※注意
 東方正教会系の計算はユリウス暦で求めます。ユリウス暦で計算した日付は
 2010/3/22 となり、この日付を現在世界で広く使われているグレゴリオ暦で
 表すと2010/4/4となります。

◇聖週間の始まりは「枝の主日」
 聖週間は復活祭の前の 1週ですからその始まりの日は

  「枝の主日」(Palm Sunday または、Passion Sunday)

 と呼ばれます(2010年の場合、3/28です)。
 palmは手のひらを表す言葉ですが、ここでのpalmは手のひらの形をした葉を
 指し、イエスがユダヤ教の過ぎ越しの祭りを過ごすためにエルサレムに入城
 したときに人々が手のひらの形をした葉をつけた木の枝(シュロのような植
 物の枝と考えられます)をイエスの進む道に敷き詰めて歓迎したという故事
 に因んだ名前です。

 教会によってはこの日に、シュロやオリーブの枝を聖水によって祝別し、こ
 れを信徒が持ち帰ることがあるそうです。

 ロシアを中心に広がる東方正教会系の教会では、この日は「主の聖枝祭」と
 云うそうで、行事自体は同じものですが、ロシアではシュロやオリーブが育
 ちにくいためでしょう、枝として使われるのは専らネコヤナギの枝だそうで、
 このためこの日は「ネコヤナギの日曜日」と呼ばれるそうです。

 ちなみに、シュロ、オリーブ、ネコヤナギの他にもハシバミ、イチイ、月桂
 樹、カラマツ、トウヒ、アメリカツガなども「palm」と呼ばれるそうです。
 この辺りは、それぞれの地域に生育する植物の違いなのでしょう。

◇現代の聖週間
 本来は神聖な宗教行事でも次第に行事が世俗化して、本来の行事から離れて
 行くと言うことは何処でも起こる現象でしょう。この「聖週間」に関しても
 世俗化が進んで、現在ではキリスト教教徒の間でも宗教色が薄れ、単なる季
 節のイベントとしての性格を持つ行事となりつつあるそうです。
 日本人にとってのゴールデンウィークみたいな位置づけでしょうか(この点
 に関しては、身近にキリスト者がおりませんので、確かめることが出来てお
 りません。「そんなことは無いです」というお叱りを受けるかも・・・)。

 聖週間は、イエスの受難の故事に則って今日の「枝の主日」から始まり「洗
 足の木曜日」「聖金曜日」「聖土曜日」と続きます。そしてその直後に復活
 祭を迎えることになります。

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