日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■麦秋至る
本日より七十二候の一つ「麦秋(ばくしゅう)至る」の時候となります。
それは陰暦の 4月頃、現在の 5月〜 6月。
季語としては「夏」に分類される語です。
「秋」という言葉が入っていますが、秋は百穀物・百果実の実る季節です。
麦秋の「秋」はこの「収穫の時」を意味する言葉として使われています。
四季で言うところの季節では初夏ですが、この時期は麦の実る時期ですから
収穫の時を表す秋という言葉と麦を組み合わせて「麦秋」と言い表したわけ
です。今は一面の麦畑等という光景を目にすることは希になりましたが。
麦秋はまた「麦の秋(むぎのあき)」とも読みます。
意味としては同じですが、「ばくしゅう」と読むと麦を収穫するのどかな風
景を想像するのに対して、「むぐのあき」と読むと、なんだか物淋しい感じ
がします(私だけ?)。木々の葉が落ち冬に向かう季節という意味を「秋」
に感じるためでしょうか。
私自身の体験で言えば、一面の麦畑という風景は十年ほど前にただ一度目に
したことがあるだけ。走り梅雨ともいえる激しい雨に煙る麦の畑でした。
「麦秋至る」の時候は、あの風景の記憶が呼び覚まされるからでしょうか、
のどかよりはも淋しさを感じさせるものとなっています。
既に書いたとおり、今では麦の畑を見かけることも希になってきましたから、
「麦秋至る」という言葉には「のどかさ」も「物淋しさ」も感じることが無
くなってただ
なぜこの時期に、「秋」なんだ?
という不思議な思いだけが残る言葉になってしまうかも知れませんね。
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