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■お釈迦様の誕生日は大安?
 今日(2011/05/10)は旧暦の日付では 4/8。 4/8といえばお釈迦様が生まれた
 と伝えられる日です。これは目出度い。
 目出度いといいながら、あまりお祝いされるということもない誕生日ですけ
 れど。

◇今日は大安
 さすがというか、この目出度いお釈迦様の誕生日は大安でした。
 実は、「今日は旧暦では 4/8」とわざわざ旧暦でお釈迦様の誕生日を書いた
 理由はこの

  今日は大安です

 と書きたかったからなのです。新暦の日付ではこうはいかないので。
 既にこの日刊☆こよみのページでも何度か採り上げましたが、大安や仏滅と
 いった六曜は旧暦の月日によって決まっています。
 例えば、旧暦の 4月についていえば、その始まりの 4/1は必ず仏滅になると
 決まっています。 4/1が仏滅ですからあとは

  (4/1)仏滅→大安→赤口→先勝→友引→先負→仏滅→大安(4/8)

 という具合です。
 六曜はこのように旧暦の日付によって決められているものなので、お釈迦様
 の誕生日の日付 4/8を旧暦で表す限り、毎年この日は「大安」になります。
 ああ、やっぱり東洋の伝統行事には旧暦で考えるに限る・・・かな?

◇昔からじゃなかった「お釈迦様の誕生日の大安」
 現在はなぜか大変有り難がられるこの六曜(結婚式は大安だし、友引の葬式
 は忌み嫌われるし)ですが、実はそんなに大層な歴史や謂われがあるわけで
 はありません。

 六曜は中国から伝わった六壬時課(りくじんじか)と呼ばれる時刻の吉凶判
 断に使われる占いとして日本にやって来ました。日本に伝来した時期ははっ
 きりしませんが、おそらく 350年くらい前だと考えられます。

 「時刻の吉凶判断として使われた」と書いたとおり、本家の中国では六曜は
 あくまでも時刻の吉凶を占うもので、これを日付の吉凶判断に用いることは
 ありません。これがなぜか日本では日の吉凶判断にのみ使われるように変化
 してしまいました。

 本来時刻の占いであった六曜が日の吉凶判断に使われるように日本独自の変
 化を遂げましたが、六曜の変化はこればかりではありませんでした。六曜の
 言葉も、そして順番も変わってしまっていたのです。
  300年程前に出版された和漢三才図絵に登場する六曜に登場する言葉は、

  大安・留連・速喜・赤口・小吉・空亡

 大安と赤口以外は見たことのない言葉。
 更に順番も異なっていて、 4月の最初の日の六曜は赤口でした。和漢三才図
 絵が出版された時代の六曜でお釈迦様の誕生日 4/8が何になるかというと

  (4/1)赤口→小吉→空亡→大安→留連→速喜→赤口→小吉(4/8)

 お釈迦様の誕生日は大安ではなくて小吉でした。
 「お釈迦様の誕生日は大安、亡くなった日は仏滅。ほらやっぱり日の吉凶は
 あるんですよ」なんてことをおっしゃった方とかつてであったことがありま
 したが、どうやらこの説は後付けか、単なる偶然を御都合主義的に捉えたも
 ののようですね。

 お釈迦様もきっと「私の生まれた日は大安でした」なんてことはおっしゃら
 なかったはずですね。お釈迦様がご存命の当時、六曜どころか六壬時課もま
 だつくられちゃいませんでしたから、あたりまえですけどね。


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