日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■盆の月
本日(2011/08/14)は、旧暦の七月十五日。「旧盆」と呼ばれる日です。
旧暦の日付が十五日ですからその夜に昇る月は十五夜の月、満月です。
本日は、今夜昇る満月、盆の月の話です。
まずは、盆の月という言葉を辞書で引いて、話を始めることにします。
【盆の月】(ぼんの つき)
盂蘭盆(うらぼん)にあたる陰暦7月15日の月。秋の季語。
「虚無僧の深あみ笠や盆の月」(子規)
《広辞苑・第六版》
盆の夜といえば、今でも「盆踊り」が行われることが多いと思います。
盆踊りは、空也上人や一遍上人などから始まる念仏踊りに各地の様々な踊り
が混淆して生まれたもので、盆に戻ってきた祖先の精霊を慰め、再びあの世
へと送り出すための行事であると言われます。
元は宗教的な意味合いのあった行事でしたが、娯楽の少ない時代には地域の
人々が集って行う楽しい行事として、次第にその裾野を広げて行ったようで
す。
盆踊りといえば夜の踊りですが、明かりの豊富な現在であればいざ知らず、
せいぜい提灯や篝火くらいしか無かった時代には、明かりの確保は大変でし
た。そんなとき、この夜に昇る十五夜の月は大切な照明装置となりました。
夏場の満月は空のあまり高くない場所で輝いています。
その月から届く光は、頭上から煌々と照らす冷たい光ではなく、ほんのりと
色づいた優ししい光。
ほんのりと色づいた優しい光を送る盆の月の明かりの下で、盆踊りは踊られ
てきたものでした。
盆の月は、人間たちの娯楽としての盆踊りを照らした明かりとなった後は、
あの世への帰り道を照らす明かりとなって、盆踊りによって送り出された精
霊たちを見送る月となります。
さてさて、心配なのは夜の天気。
私の住んでいるところでは幸い一日中晴天が続きそうですが、皆さんのお住
まいの場所はいかが?
明るい盆の月の下で楽しい盆踊りを踊れるとよいですね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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