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■「ホワイトデー」の誕生
 今日、3/14はホワイトデー。

  どこから沸いてきたんだか?

 という記念日です。
 昨日の暦のこぼれ話で「明日はホワイトデーなので」と書いてしまったので
 仕方がない(?)。
 本日はこのどこから沸いてきたのかというホワイトデーの話です。

◇どこから沸いてきたのか
 いつから始まったかよく分からないうちに広がり、そして定着していった、
 記念日にはそうしたものが沢山あります。特に何百年〜千数百年も昔からあ
 るような行事では、その始まりがいつかといったことは調べようも有りませ
 ん。

 その点で、このホワイトデーはラッキーといいますか、いつから始まったか
 が分かる(いつごろ定着したかではなく)記念日です。
 ホワイトデーについて調べてみると、
 その始まりは、1977(昭和52)年のことです。始まった時は、まだホワイト
 デーではなくて、「マシュマロデー」という名前だったそうです。

◇マシュマロデーの誕生
 ホワイトデーの始まりは、福岡市にある和菓子屋さんである石村萬盛堂が始
 めたマシュマロデーだと云われています。
 石村萬盛堂の社長(三代目)さんが、たまたま読んだ女性雑誌に

  バレンタインデーにお返しがないのはなぜか

 という投稿が載っていたのを目にしたのが、その始まりだと言われています。
 この「バレンタインデーのお返し」という考えと、お返しとして欲しい品の上
 位に石村萬盛堂の「鶴乃子」というお菓子の原料であるマシュマロがあがって
 いたことで、マシュマロデーを思いついたそうです。
 (石村萬盛堂HP http://www.ishimura.co.jp/)

 後にホワイトデーと呼ぶようになったのは、マシュマロの白からとか。

◇全国飴菓子工業協同組合の「ホワイトデー」
 石村萬盛堂の動きと前後して、全国飴菓子工業協同組合(以下「全飴協」)
 でも1978年の総会で3/14をホワイトデーとする決議されました。
 (全国飴菓子工業協同組合HP http://www.candy.or.jp/)

 1980年には「愛にこたえるホワイトデー」と銘打ったホワイトデーの第一回
 キャンペーンをラジオのCMや、キャンペーンガールによるサンプル品の配布
 などの形で大々的に行いました(最初の2〜3年はなかなか売り上げに結びつ
 かず、苦戦したようです)。

 こちらの「ホワイト」は飴菓子の素材となる砂糖の白からとか。ホワイトは
 純粋のシンボルでもあるのでティーンのさわやかな愛にぴったりという考え
 で、この名としたとされます。
 こちらも、バレンタインデーのアンサーデーという位置づけです。

 お返しの品としては、提唱団体が全飴協ということから想像がつきますね。
 そう、お返しは「キャンディー」。
 全飴協はこの日をキャンディーの日としています。
 ちなみに全飴協には、ホワイトデー公式サイトが有ります。

  ホワイトデー公式サイト
  http://www.candy.or.jp/whiteday/index.html

 しかし、ここまで生まれた経緯のはっきり分かる記念日って珍しいですね。
 今後も、商業ベースで、こんな「生まれた年がはっきり分かる記念日」が増
 えて行くのでしょうか?

◇「お返し」の文化とホワイトデー
 前述したホワイトデーの誕生の話は、いずれも「バレンタインデーのお返し
 の日」としてホワイトデーが生まれたこと(生まれは日本)を物語っていま
 す。この辺りは日本の贈答文化の影響があるのでしょう。

 「贈答」というくらいで、贈り物にはそれに答えてお返しするのがあたりま
 えという考えがあったから、石村萬盛堂の社長さんが見かけた女性雑誌の投
 稿のように、「バレンタインデーにお返しがないのはなぜ」という疑問が浮
 かぶことになるのでしょうね。
 贈ったり贈られたり、面倒なことです。

 さて、ホワイトデーがバレンタインデーの「お返しの日」として生まれてき
 た経緯を考えると、ホワイトデーの歴史が浅いのもうなずけます。
 まずは、先行するバレンタインデーが普及しなくては、ホワイトデーも生ま
 れてこなかった訳です。
 バレンタインデーが日本に普及し始めたのは1950年代、広がったのは1960年
 代と云われますので、そのお返しのホワイトデーの誕生と普及はこのバレン
 タインデーから10〜20年ほど遅れているようです(なくてもいいと私は思い
 ますが)。

 今ではすっかり定着したバレンタインデー。義理チョコという言葉も広く認
 知される昨今ですから、これと対になるホワイトデーも定着し、そのうち職
 場や学校で男性から女性に

  義理キャンディー・義理マシュマロ

 を贈ることがあたりまえの世の中がやって来るのかも。
 そんな時代がやって来ることがないことを、切に願うかわうそでした。
 あ、そんな時代が来たとしても、そのころにはそんな行事とは無関係な年齢
 になっているかな?

 それはそうと、私は甘いものが好き。
 勝手では有りますが、石村萬盛堂さんや全飴協のHPの宣伝をしておりますの
 で、勝手に「甘いもののお返し」があっても、断りませんよ。
 (ったくくいしん坊なんだから。冗談ですよ)

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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