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■「かまぼこ」が登場して900年
 本日、2015/11/15は、かまぼこの日。
 日刊☆こよみのページの「今日の記念日」にも、しっかり「かまぼこの日」
 として登場していただきました。そして、その説明の中でこの日がかまぼこ
 の日とされた理由として

  『平安時代の古文書に1115年の祝宴の膳にかまぼこが出されたという
   記述があることから』

 と書いております。1115年を 11/15に置き換えたわけです。
 だとすると、今年2015年はこの、かまぼこの日の元となった1115年からちょ
 うど 900年ということになります。
 この書物には、当時の祝宴の膳に並んだ料理の数々が絵として書かれていて
 その中にかまぼこの原型の絵もあったということです。

 ちなみに、全国かまぼこ連合会の「11月15日はかまぼこの日」というHPには
 その絵の画像が掲載されております。
 「11月15日はかまぼこの日」( http://www.zenkama.com/history/ )

 この説明に登場する古文書とは何だろう。HPの説明にはありませんでしたの
 で私なりに調べてみると「類聚雑要抄(るいじゅうぞうようしょう)」では
 ないかと思われました。しかしこの本が完成したのは、1115年ではなくて11
 46年頃らしい。なんか年数が合わない。この本は四巻本であるということな
 ので、かまぼこが登場する巻の完成はそれより前なのか、それとも類聚雑要
 抄じゃないのか?
 残念ですが、この当たりまでは調べきれませんでした(詳しい方がいらっし
 ゃったら教えて下さい)。

◇元々は「ちくわ」?
 かまぼこは、「蒲鉾」と書かれます。
 これは、元々のかまぼこが魚のすり身を竹の棒に巻き付けるようにして塗り
 つけ、これを炭火などであぶって作ったもので、その形や色がが蒲の穂(が
 まのほ)に似ていることから「蒲穂子(がまほこ)」と呼ばれました。
 やがて、穂が武器の鉾(ほこ)に似ていること(と「穂子」とおなじ?)と
 いうことから、蒲鉾と置き換わったと考えられます。

 先に説明した平安時代の祝宴の膳の絵に登場するかまぼこは、この作り方で
 作られたものです(串に刺さった状態で描かれていますから)。
 この串に刺した状態の物から串を抜くと・・・おっと、ちくわのようになり
 ますね。そう、元々のかまぼこは、現在のちくわのような物だったのです。

◇板付きのかまぼこ
 では、今「かまぼこ」というと思い浮かぶ板付きのかまぼこはいつ頃生まれ
 たのかというと、室町時代の末期と考えられます。
 ちくわ型から板付きかまぼこへの変化には、献上品としてのその形を工夫し
 た結果だとか、加熱(焼く物から、蒸す物へと製法が変化したためか)する
 際に便利な形状だったためなどが考えられています。

 この板付きかまぼこが登場して普及してくると、それまでの蒲の穂に似た形
 のかまぼこは、これと区別するために「ちくわ」という名前で呼ばれるよう
 になったとか。
 「ちくわ」の名はその切り口が竹の断面に似ていることから「竹輪」だった
 わけです。元祖かまぼこだったのに、後発の板付きかまぼこに名を奪われて
 しまった、可愛そうなちくわです。

◇紅白のかまぼこと七五三
 11/15 といえば、もう一つ年中行事があります。
 それは、七五三。

 今かまぼこというと、真っ先に思い浮かぶであろう紅白の目出度い色合いの
 あのかまぼこは、この七五三の祝い用に作られるようになったのが始まりだ
 といわれています。

 そういう意味から考えても、なるほど 11/15は「かまぼこの日」に相応しい
 日といえそうです。

 今年は、このかまぼこの名前の登場した1115年から 900年ということで、前
 出の全国かまぼこ連合会で、いろいろとイベントを実施しているようです。
 どんな催しがあるかは、全国かまぼこ連合会のHPをご覧下さい。

  全国かまぼこ連合会 ( http://www.zenkama.com/ )

 別に全国かまぼこ連合会から宣伝を頼まれたわけじゃありませんけど、なん
 か、宣伝しちゃいました。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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