日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■日暮れの時刻の早い時期について
日出から日没までの、昼の時間が最も短い日は、ご存じのとおり冬至の日で
す。冬至の日には、冬至かぼちゃを食べ、ユズ湯に入って・・・という話は
冬至の頃までとっておくとして、今日は日暮れ(日没)の時刻が一年で一番
早い時期の話です。
◇一番日暮れの時刻が早い日は冬至でない?
わざわざ、冬至の時期から半月も前にこの話を書いているところから、大方
見当がついていると思いますが、日暮れの時刻が一年で一番早いのは冬至の
頃ではなく今頃です。
とはいえ、すごく違うのかというとそれほどではなくて、日本付近では大体
3〜5分くらいの違いですが、それでも今頃の方が早いことは早い。
日出から日没までの時間が最も短い時期と、日没の時刻が最も早くなる時期
がなぜ異なるかといえば、この時期から少しずつ日没の時刻が遅くなるより
も大きな割合で、日出の時刻が遅れるからです。
これは我々が時刻を測っている時計の針と、自然の時計の針の役割を果たし
てくれる太陽の進み方に違いがあるためです。
ちょっと専門的な言葉を使えば、平均太陽時と真(視)太陽時に差があり、
その差が季節によって変化するためです。
この差を「均時差」と呼びます。
均時差について説明するとこれが結構大変なのでこの辺は省略させて頂きま
す。詳しく知りたい方はWeb こよみのページの
暦と天文の雑学
⇒ 冬至は一年で一番日の出の遅い日か?・・・均時差の話
(http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0508.htm)
に書いておりますのでこちらをお読み下さい(文章だけではとても説明出来
ないので、図やグラフを入れて説明しています)。
◇一年で一番日暮れの時刻が「早い頃」?
一年で一番日暮れの時刻が早い日とせず、「早い頃」とした理由は、一番早
い日は場所(緯度)によって違ってくるためです。
日出から日没までを昼とすれば、昼の時間の長さの変化の割合は緯度によっ
て異なり、冬至の頃(北半球での話)であれば、その変化は北(高緯度)へ
行くほどその割合が大きくなります。
これに対して、既に書いた均時差の方は、地球上どこでも同じ割合で変化す
るものなので、日没が一番早い時期(や日出が一番遅い時期など)は緯度に
よって、異なってしまいます。
こう書かれると、みなさんがお住まいの場所で、一番日没が早い時期はいつ
だろうかと気になると思いますので、参考まで緯度ごとにいつ頃が一番日没
の時間が早くなるかを計算してみました。その結果は以下のとおり。
北緯 20° 11/26 頃
北緯 25° 11/30 頃
北緯 30° 12/03 頃
北緯 35° 12/06 頃
北緯 40° 12/08 頃
北緯 45° 12/11 頃
計算は2015年について行ったものですが、他の年でもほぼ同じと考えて結構
です。
これを見ると、沖縄や九州などでは、一年で一番日没の時刻の早い時期は過
ぎており、もう、じりじりとですが日没の時刻が遅くなり始めていることに
なります。東京あたりでは、ちょうど今頃、東北や北海道ではこれからとい
うことになります。
昼の時間の長さの変化というのは、あまり実感できないものですが、日没の
時間の変化は、帰宅の時間などともかかわるためか、案外わかるもの。
昼の時間が一番短い冬至はまだ少し先ですが、それなのに日没の時間だけは
少しずつ遅くなり、なんだか日が伸びたような錯覚にとらわれてしまうかも
しれませんね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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