日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■地味ながら、本日は月食(半影) (2016/03/23)
半月前に、地味〜な部分日食があったのを覚えておいででしょうか?
3/9 の日食のことです(東京では当日は悪天候で、太陽が見えませんでした
ので、日食は確認できませんでした)。
日食や月食は、天球上の太陽の通り道である黄道と月の通り道である白道と
が交差する場所付近で、新月、満月を迎える時に起きる現象ですので、一度
日食や月食が起きたときには、その半月後にその逆の現象(前回が日食なら
月食、前回が月食なら日食)が起こることがあり今回はそのパターンです。
半月の間に日食と月食の両方を見ることができるなんてお得な感じ
と思われる方も多いと思いますが、なかなか世の中は甘くない。
こうした「お得な感じ」の日食・月食が連続して起こる場合には、残念なこ
とに、両方とも皆既食となるようなことはなく、一方が極めて浅い食になる
か、両方とも程々に浅い食になります。
今回のパターンでは、 3/9の日食は、日本では浅い部分日食にすぎませんで
したが、地球全体で見るとインドネシアなどでは皆既日食になった食分の大
きな食でしたので、半月後の3/23の月食は、極めて浅い月食となるというパ
ターンです。
今回の月食は食分が浅いも何も、肉眼で見てもはっきりと影の形が分かる本
影食が全然ない、半影食で終わってしまう月食です。
かなり、地味な月食といえるでしょう。
◇半影月食
普通、「月食」として取り上げられる月食は「本影月食」と呼ばれるもので、
今夜起こる半影月食は「月食」として取り上げられる事はあまり有りません。
本影月食と半影月食の差は何かというと、判りやすく言えば月面に立って太
陽を見上げたときに太陽が完全に地球によって隠される「皆既日食」が見え
る場所では本影食が起こっており、完全に隠されない「部分日食」がみえる
場所では半影食が起こっているのです。
本影月食と半影月食というと、
「ああ、皆既月食と部分月食のことですね」
と早とちりする方がいらっしゃいますがこれは違います。
皆既月食も部分月食もあの黒い影の部分はどちらも、本影による月食です。
誤解の無いように。
半影食が起こっている場所では、地球によって太陽の光が完全に隠されてい
るわけではないので、月はほんの少し暗くなったように見えるのですが、は
っきりと地球の陰に入ったようには見えません。
肉眼で見ると半影食はほとんど気が付かない現象のため、「月食」として取
り上げられることが少ないのです。
◇半影月食を見る、写す
半影食でも影に入る度合い(「食分」といいます)が大きい場合は、よく見
れば地球の影の中心に違い側が微かに暗くなっていることが肉眼でも判りま
すが、これは注意して見て始めて気付く程度。注意してみなければ見過ごさ
れてしまうでしょう。
これは、人間の目が優秀にも自動的に明るさの調整をしてしまうためで、月
が暗くなっていても「適切な明るさ」に調整してしまっているため、結果と
して気付かないことになってしまいます。
この点では、カメラの方がより素直というか正直なので、半影食でも写真に
は写りやすいです。もっとも最近のカメラは賢くなっているので、明るさを
自動補正してしまうために、それなりに意識しないと昔のバカ正直なカメラ
のようには写らなくなってしまっています(進歩することはいいことばかり
じゃないということでしょうか)。
◇今回の現象
今回の半影月食は3/23の19時頃に始まり22時40分頃に終わります。
最も食分が大きくなるのは20時46分。この時には月の半分以上が半影の中に
入ります。しかし肉眼で見ると、人間の優秀な目は、月食によって幾分月が
暗くなったとしても、自動的に光量調節を行ってしまい、暗くなったことに
気づかないのが普通ですがカメラなどで写すと案外よく映ることがあります
ので(最近のカメラは、人間並みに自動調光しちゃうので、マニュアルで)
試してみても面白いかも。
今回の半影月食がどのように進むかは、Web こよみのページの次のページで
確認することが出来ます。
月食シミュレーション ( http://koyomi8.com/sub/meclips.htm )
2016年の「候補1」をクリックすると様子がわかると思います(いいわけで
すが、月の模様の向きは実際と異なります。この点はあまり当てになさらな
いでください)。
それよりもまず、今夜晴れるかな?
それは、こよみのページではなくて、天気予報でご確認ください。
ではでは。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
日刊☆こよみのページ スクラップブック