日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■季節の交代と土用
明日、2016/04/16は土用の入りです。
土用は季節の変わり目に、季節と季節の緩衝地帯のように挿入された18ない
し19日の切り替え期間です。
四季それぞれの間に挿入されるわけですから、土用の期間は年間で4回現れ
ます。
土用は木火土金水の5つの要素の組み合わせで森羅万象が成り立っていると
いう古代中国の科学仮説、五行説から来たものです。木火土金水の五要素で
森羅万象すべてを説明しようとしたわけですから、当然季節の循環もこの方
法で説明しようとしました。ところが困ったことに、季節は「四季」とは云
っても五季とは云わない。この季節に木火土金水の五要素を当てはめるには
どうしたらよいだろうかと考えた末に編み出されたものが、土用でした。
その論法はこんな具合。
「木」:春は草木が勢いよく成長する時期だから「木」の性質
「火」:夏は、焼け付くように暑いから「火」の性質
「金」:秋は夏の熱が冷め、草木が固い実を実らせるから「金」の性質
「水」:冬は冷え切り、全ての活動が停滞する時期だから「水」の性質
という具合に、四季にそれぞれ四つの性質を割り振りました。なかなか収ま
りがいい。と思ったら、あれ? 一つ抜けてる気がする。あ、「土」を忘れ
てました。どうしよう。四季をやめて無理やりに五季とするというのは、い
くら何でも強引すぎる。何かいい方法はないか?
そこで考え出されたのが「土用」。性質の異なる季節がある日を境にがらり
と変わるというのは、想像しにくい。
そこで、季節と季節の変わり目には、季節の交代を円滑にするための緩衝地
帯的なものが必要だろうと考えて、この緩衝地帯に「土」を当てはめること
にしたのが土用でした。季節と季節の緩衝地帯なので、その数は四季と同じ
く四つ。一年を5つに分けると、
365 ÷ 5 = 73日
さらに、これを4つに分けると
73 ÷ 4 = 18日 or 19日
ということになります。
現在は、単純に日数割する方式ではなくて、太陽が天空をめぐる道筋である
黄道を角度で分割しその角度によって
27度〜 45度 :春土用
117度〜135度 :夏土用
207度〜225度 :秋土用
297度〜315度 :冬土用
※この角度は、春分点 0度、夏至点90度、秋分点 180度、冬至点 270度と測
る角度(「黄経」といいます)のことです。
としています。ただし、土用入りなどは、日付単位なので、太陽の黄経が27
度となる瞬間を含む日とされ、日の途中で分けるようなことはしません。
◇春土用の期間
春の土用の期間は現在は太陽の黄経(黄道座標の経度方向の値)が27°にな
る日から始まり、暦の上の夏の期間の始まりである立夏の直前の日までと決
められています。
今年(2016年)の立夏は 5/5ですから、春土用は 4/16〜5/4の19日間という
ことになります。
◇春土用の間日
土用の期間は、土公神(どくじん)という「土」を司る神様が力を強め、地
上を支配する期間といわれ、土公神はその居場所をいじり回されるのを嫌う
神様であるために土用の時期に、「土をいじる」行為は禁忌とされていまし
た。
土をいじることとは、土木工事、井戸浚い、耕作地を耕すこと、竈の改修な
どなど。沢山あります。
この沢山ある行為を土用の期間である18日間行えないとしたら、こうした仕
事をする人たちはたまったものではありません。そこで考え出されたのが、
「土用の間日(まび)」。この土用の間日に当たる日は、土公神の障りの無
い日とされています。
間日は、各季節の土用毎に決まった十二支の日と決められていて、春の土用
の間日は、巳・午・酉の日。
今回の土用の間日は
4/17,18,21,29,30 5/3 の 6日
です。
この間日の期間は土公神様が地上を離れていらっしゃるそうで、このため土
をいじっても祟られないということです。
土いじりは土公神様の居ぬ間にどうぞ(この迷信を信じ無い方には関係ない
ですけれど)。
土用は「季節の終わり」に挿入されていますから、春の土用がやって来たと
いうことは、暦の上ではそろそろ春も終わりの頃ということができます。
春はつい昨日来た様な気がするのに、明日は春と夏の間の緩衝地帯、土用に
入ってしまいます。もう晩春なんですね〜。
※参考 土用と間日の計算 → http://koyomi8.com/sub/doyou.htm
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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