日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■節月五月
明日 6/5から二十四節気は芒種となります。
芒種の芒(のぎ、または「禾」)とよばれる、先っぽに棘の様なもののある
種を意味する文字で、稲の籾などがこれに当たり、芒種はこうした「禾」の
ある穀物の種を蒔く頃という意味です。
芒種は二十四節気の中では「五月節」にあたります。
二十四節気には、中気と節気とがそれぞれ12あり、芒種はそのうちの節気に
含まれます。
二十四節気の中気は太陽太陰暦の暦月の名前を表すものとして使われるもの
です。これに対して節気は季節の区切りを表すという役割があります。
芒種は五月節(節気)ですから、芒種の日は五月という季節の始まりを表す
日ということになります。
暦の上の五月は夏の季節の真ん中、「仲夏(ちゅうか)」を表す月ですから
明日からは、暦の上では、夏という季節の夏の盛りの時期に入るということ
になります。
◇節切りの五月
旧暦の暦では季節と暦日が一致しないことが多々ありました。そのため旧暦
の日付は農業を行う上ではあまり当てにならないものだったので、これに替
わって使われていたのが
「節切り(せつぎり)の暦」
でした。どんな暦かというと、二十四節気の「節」から次の「節」の直前ま
でを一月と考える暦。いわゆる旧暦は月の満ち欠けで月を区切る太陰太陽暦
でしたが、節切りの暦は月の満ち欠けとは無関係に太陽の位置で決まる太陽
暦です。この節切りの暦の表した月を、節切りの月とか、節月(せつげつ)
といいます。
現代の二十四節気は太陽の視黄経と言われる位置を表す座標値(0〜360°ま
で)を15°毎に区切っていて、これを通過する日を二十四節気の節入りとし
ています。こうした角度による方式を定気法(じょうきほう)と呼ぶのです
が、この方式では芒種は太陽の中心が黄経75°を通過する日となります。
二十四節気の「節」では芒種の次は六月節の小暑ですから、節切りの五月は
明日の芒種から六月節の小暑の前日までとなり、新暦では 6/5〜7/6 (2016
年)がこの期間となります。
◇節月五月は「稲作」の月
五月は「サツキ」。サツキの「サ」は古代、稲を表す言葉だったといいます。
(田植えをする女性を「早乙女(さおとめ)」、田植えが済んだ後のお祭り
が「早上り(サノボリ)」と呼ばれるなど、今でも「サ」と「稲」が関連し
ていると思われる言葉が多数残っています。
サツキはつまり、稲の月。芒種は「禾のある穀物の種を撒く時期」ですから、
田植えの月ということが出来るでしょう。
田植えではなくて、「種を撒く」と有るじゃないかと言いますが、種をまい
て苗を育て始める時期と言うことでしょうか。現在は、苗代である程度まで
稲の苗を育ててから田植えをするようになっていますが、古い時代の稲作で
は種籾の直蒔きを行っていたと考えられていますので、違和感はなかったの
では?
芒種の季節といえば本州でもそろそろ梅雨入りかなという時期。
田植えを終えて、満々と水をたたえた田圃の上に梅雨の雨が降る光景が浮か
びます。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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