日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■十五夜と十三夜の月の位置
いよいよ今日は十三夜。九月十三夜の月は八月十五日(旧暦)の中秋の月と
並ぶ名月です。
お月見をなさる予定の方は、もう準備万端整っていることでしょう(私は相
変わらず団子の用意くらいですが)。
さて、この二つの名月、片や十五夜(伝統的に満月と考えられる)、そして
もう一つはその二日前の十三夜の月ということで、まん丸ではなくてちょっ
と欠けている月ということになります。
ま、今年の中秋の名月も十五夜とはいえ、天文学的満月の日の2日前なので
こちらも「まん丸」とはいえませんが。
ほぼ一月離れた二つの月見の月は形も少し違いますが、月の出の時刻も違い
ます。月の出の時刻は、皆さんがどちらにお住まいかによっても多少違いが
ありますので、東京を例として比べてみると
中秋の名月 月出 16:51 月入 (翌日)04:22
後の月 月出 15:23 月入 (翌日)03:06
とおよそ、1時間半ほど早く昇ってきます。
お月見する側からすると、「お月様、まだかな?」と待たずに済む分、あり
がたいお月見でしょうか?
◇星座は同じ?
さて、昇る時刻は異なる十五夜(中秋の名月)と十三夜の月(後の月)です
が、お月様の見える場所はほとんど変わりません。
ここで言う「見える場所」とは、お月様の天球上の位置。もっと解りやすく
いえば、お月様がどの星座の場所に見えるかということです。
今年の中秋の名月と後の月の日の21時の月の位置を調べてみると、どちらの
月も星座で言えば
みずがめ座
にあって、座標差で考えてもその位置の差は 8度ほどです。
月は天球上を1日に約13度動く天体ですから、中秋の名月と後の月の位置の
差は、ほぼ半日分くらいの差にしか過ぎません。ということで、どちらの名
月も、星々との位置関係からするとほぼ、同じ場所といえるでしょう。
二つの月見の日付を並べてみると、旧暦の八月十五日、九月十三日は旧暦月
で一月違いで、日付は 2日前進しています。
この旧暦月一月で 2日の前進ということが、月の位置がほとんど同じになる
理由です。
満月の位置は地球が太陽の廻りを公転しているため、一月で約30°移動しま
す。また月は一日(一太陽日)約13°移動します。それぞれの位置の移動と
その向きを考えると、ある時の満月とほぼ同じ位置(背景の星に対して)に
来るのは次の月の満月の 2〜 3日前ということになります。
十五夜と十三夜の月は背景の星々に対してほぼ同じ位置に戻ってきた月だと
いえるのです。ですから、十五夜の月がみずがめ座にあり、今夜の十三夜の
月もまた同じみずがめ座にあるというわけです。
今日は、十三夜の月に供えた、団子や豆や栗を頂きながら、
「あ、あのあたりがみずがめ座なのね」
と、お月見を楽しんでいただきたいと思います。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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