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■文化の日に隠れた祝日?
 明日11/3は文化の日です。

 「自由と平和を愛し、文化をすすめる」

 というのが、現在の「国民の祝日に関する法律」(一般には「祝日法」と呼
 ばれます。昭和23年 7月20日発布・即日施行)に書かれた文化の日の意味。
 日本国憲法の公布を記念した日ということでこの日を「憲法記念日」とする
 案もありましたが、憲法記念日はそれが実施される翌年の 5/3に譲って、こ
 ちらの名前は文化の日に落ち着きました。

 この「文化の日」ですが、昔々を思い出すと、ちょっとした「隠れ祝日」を
 見つけることが出来ます。

◇文化の日は「明治節」
 昔々というのはいつかというと、それは現在の憲法が生まれる前の時代。ま
 だ、大日本帝国憲法(以後、旧憲法)が生きていた時代のことです。

 旧憲法が生きていた時代の祝祭日と現在の祝日を並べてみるとおもしろいこ
 とに気がつきます。

 ちなみに、現在もつい「祝祭日」と言ってしまうことが有るのですが、正確
 には現在は全て祝日であって祭日がありません。
 明治憲法下の「休日ニ關スル件」では、 5日の祝日と、 7日の大祭日の12日
 の祝祭日がありました(日数は時代によって多少の変動有り)。

 話を元に戻しましょう。
 この旧憲法を並べて見れば直ぐにわかるのですが、昔は11/3に「明治節」と
 いう祝日がありました。
 明治節は更に遡れば明治時代は「天長節」つまり、今で言うところの「天皇
 誕生日」でした。

 明治維新からの急激な歴史の流れの中で日本の近代化に舵を切って、現在の
 日本の基礎を築いた明治天皇に対する日本人の思い入れは強く、昭和の時代
 に入って、一旦は祝祭日のリストから消えた明治天皇の誕生日が名前を変え
 て復活したのです。

◇新憲法下の文化の日
 現在の「国民の祝日に関する法律」が制定される前に行われた時事通信社の
 3000名対象のオピニオン調査では、この明治節の祝日への採用希望者は15.1%
 と全体の中の 9位とかなり高い位置に「明治節」が登場しました。

 ただこの時代の日本は占領軍統治下。GHQ が国家神道・天皇崇拝に関連しそ
 うな祝日を認めるはずはないことから、真っ正面から「明治節」ではなくて

  衆議院案 文化祭
  参議院案 憲法記念日

 という名前での祝日案が提出され、調整の結果、現在の「文化の日」と言う
 名前になりました。名を捨てて実(日付)をとったと言えるようです。

 最近は、この日に日本国憲法が公布されたと言う意味すら忘れられてしまっ
 ている感がありますから、更に明治節だったなんて言うことは、今は昔の物
 語になってしまったかもしれませんね。

◇おまけ
 この「文化の日」と「明治節」のような関係にある新旧の祝日、祭日は他に
 もあります。
 興味のある方は、Web こよみのページにも祝祭日の一覧のページがあります
 からそうしたもので、お確かめください。

 Web こよみのページ 「祝祭日一覧」
 → http://koyomi8.com/syukujitsu.htm


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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