こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■最も早くて、影の薄い振替休日のはなし
 年が明けて間もなく。正月行事が目白押しの時期。
 暦のこぼれ話を書くなら、いろいろと他にも話の種が転がっているのですが
 本日は目先を変えて(いきなりですけど)、振替休日の話です。

◇振替休日の誕生
 まずは、振替休日の誕生の話から始めましょう。
 振替休日は「国民の祝日に関する法律」に1973年 4月12日に第三条二項とし
 て追加された、

 『「国民の祝日」が日曜日にあたるときは、その翌日を休日とする。』

 という条文によって生まれました。最初の適用はその年の4/30。この日は、
 その前日の4/29の天皇誕生日が日曜日に当たっていましたので、初の振替休
 日となりました。

 ※「国民の祝日に関する法律」には「休日」の言葉はあっても「振替休日」
  の言葉はありません。「振替休日」という言葉は、他の「休日」との区別
  のために便宜的に使っている言葉です。ご了承下さい。

 この法改正の日付が4/12であることを見ると、どうやらその年のゴールデン
 ウィークに間に合わせるように休日を増やそうと考えた感じです。
 ちなみに、この年には既に小学生であった私にとっては、難しい話はさてお
 き、休みが増えて嬉しかったことだけは覚えています。

◇最も早い振替休日
 さてさて、こうして生まれた振替休日が一年で一番早く現れる日はいつかと
 いうと、それは 1/2。そして今年は、今日、1/2 は目出度く振替休日となっ
 ています。ただ、

  休みが増えて嬉しいな〜・・・。

 と思っている人は、ほとんどいないでしょうね。
 振替休日もなにも、それ以前に正月三箇日で、お休みという方が多いから、
 こんなところに振替休日が出来ても有り難くない、それどころか1日損をし
 た気分になるかも(大部分の方は、振替休日となっていることにさえ気づか
 ないかな?)。

 ただ、こよみのページとしては 1/2の振替休日というのは、考え得る限り最
 も早い振替休日ですから、採り上げる価値はあります。

 それに、次に1/2の振替休日の話を書くチャンスは、6年後の2023年まで巡っ
 てきませんから(ちなみに、前回は2012年でした)、それまで日刊☆こよみ
 のページが続いている保証はありませんからね。
 書けるときに書いておこう!

 ちなみに、今日は振替休日。ではその元となった昨日の祝日は何?
 もちろん日刊☆こよみのページの読者の皆さんならご存じのことですが 1/1
 は立派な祝日。なんていう祝日かは、これももちろんご存じですよね?
 (正解は「元日」です)

 しかし、今日の 1/2が影の薄い振替休日だとしたら、昨日の祝日も祝日とし
 ては影の薄い存在ですね。目出度いけど、可愛そう。

 可愛そうといえばもう一つ。
 例年、2〜3回くらいは出現することの多い振替休日ですが、今年は今日の1
 回のみ。その今日も実質的には休日が増えた気がしませんから、今年はなん
 だか休日が少ない年だな〜ということになりそうです。
 ちなみに、来年(2018年)は振替休日の当たり年。4回(2/12,4/30,9/24,
 12/24)の振替休日が巡ってきます。

◇ついでに振替休日の規則変更の話
 1973年に生まれた嬉しい振替休日ですが、一つ難点がありました。
 それは、祝日と祝日が連続すると振替休日が消えて無くなってしまうという
 ことです。当初の法律の文面からすると、祝日が日曜日と重なった場合にそ
 の翌日が振替休日となるので、その曜日は必ず月曜でした。

 では、日曜日も月曜日も祝日だったら?
 哀れ、生まれたはずの振替休日は無くなってしまいます。
 もっとも、祝日が連続するようなことが無かったので、困ることは無かった
 のですが、2005年の法律改正で祝日が連続する日が出来てしまったので、こ
 の問題が顕在化しました。ここで問題となる連続する祝日の日付は、

  5/3,4,5

 の三日です(「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」)。
 三日も祝日が連続するので、例えば 5/3が日曜だと、翌日の 5/4は振替休日
 になる資格はあっても、この日自身が祝日なので、休日は増えないことにな
 ります。ということで、振替休日を規定した法律の文面も次のように改正さ
 れることになりました。

 『「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も
  近い「国民の祝日」でない日を休日とする。』

 この変更によって、もし5/3が日曜日であれば、5/6が振替休日になるように
 なったのです。折角生まれた振替休日が無くなってしまうなんて、もったい
 ないですものね(?)。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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