日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■冬至の前に日が伸びる?
仕事が終わって外に出ると既に真っ暗。
別に、仕事が忙しすぎて、沢山残業しちゃいましたというわけではありませ
ん。きちんと
定時退社
したとしても、こんな感じ。
それだけ日の暮れるのが早いということです。
本日(12/9)の日没の時刻を見ると16時28分(東京の値)。
確かに早い。
それはそうです、もうすぐ一年で一番日が短い冬至の時期ですからね。
今年の冬至は12/22。
今でも既に日暮れが早いなと感じるのに、あと半月でどれほど早くなること
か。ということで、冬至の日の日没の時刻を確かめてみると2017/12/22の日
の日没の時刻は
16時32分 (東京の値)
ほらやっぱり短い・・・え?
確か本日12/9の日没の時刻は16時28分でしたから、わずか 4分ではあります
が日没の時刻は遅くなってしまっているじゃありませんか。
ということは、冬至が一年で一番日が短い日という常識は嘘?
◇冬至は本当に、一番日が短い日?
では今度は、日の長さ(ここでは、日の出から日没までの長さ)を比べてみ
ましょう。
12/09 9時間50分 (本日)
12/22 9時間45分 (冬至) ※いずれも計算地は東京
お、やっぱり冬至の方が短い。
じゃ、なんで冬至に向かって日没の時刻は遅くなるのでしょう。
その種明かしは、日の出の時刻にあります。同じように、日の出の時刻を比
べてみると
12/09 6時38分 (日没 16時28分)
12/22 6時47分 (日没 16時32分) ※いずれも計算地は東京
どうでしょう。冬至の日は本日に比べて確かに日没の時刻は 4分遅くなって
いますが、日出の時刻を見ると 9分も(!)遅くなっています。
つまり、日没が少しばかり遅くなったところで、日出が 9分も遅くなってい
るのですから焼け石に水(・・・は言いすぎかな)で、やっぱり冬至の日が
日出から日没までの時間としては一番短い日になるのです。
◇一年で一番日暮れが早い時期は?
日没の時刻が早くなったというところから、本日の話が始まりましたので、
一番日没の早い時期はいつかという話をしておきましょう。
その日というのは○月×日です!
とずばり応えたいところなのですが、実はそう簡単にはいかない事情があり
ます。それは、この○月×日が、緯度によって違ってしまうからです。しか
たがないので、緯度毎にしめすと、こんな具合です。
北緯20度 ・・・ 11月25日頃
〃25度 ・・・ 11月29日頃
〃30度 ・・・ 12月 2日頃
〃35度 ・・・ 12月 5日頃
〃40度 ・・・ 12月 8日頃
〃45度 ・・・ 12月10日頃
最後に「頃」と入れたのは、年によって1年くらいこの日付が変わってしま
うことが、ま、こんなところです。
◇なぜこんなことが起きるのか?
なぜこんなことが起きるのかというと、それは私達の日常の生活が時計の示
す時刻を基本として営まれているためです。
そしてこの「時計の示す時刻」は、日出日没(つまり一日の太陽の動き)を
基準とした自然の時刻と異なっているためです。
私達は、日が昇って日が沈み、また日が昇るという周期を1日と呼び、そし
てその1日を「1日は24時間だ」と単純に考えているのですが、本当にそうで
しょうか? 実は、太陽を基準として考えた一日の長さは24時間ではないの
です。
実際の太陽を基準とした一日の長さを「真太陽日」あるいは「視太陽日」と
いいます。真太陽日は、太陽が南中した瞬間から、翌日再び南中するまでを
1日の長さとするものです。素朴な感覚としては日出から日出まで、あるい
は日没から日没の長さという気もするのですが、日出没時刻は、緯度の影響
を大きく受けるのでそうした影響を受けない南中を用いて測ります。
この真太陽日の長さは、季節によって23時間59分38秒〜24時間00分30秒ほど
の間で変化します。私達が日常生活に用いている時計の時間は、このように
変化する1日の長さを平均した、平均の1日(これを「平均太陽日」といいま
す)を基準とし、この平均太陽日を24時間と定めているものです。
平均太陽日と真太陽日の長さの差は、最大でも1日に30秒ほどしかありませ
んが、この差も何十日も積もり積もれば、最大16分程の差となります。この
差のことを均時差といいます。均時差について説明するとこれが結構大変な
のでこの辺は省略させて頂きます。
詳しく知りたい方はWeb こよみのページの
暦と天文の雑学
⇒ 冬至は一年で一番日の出の遅い日か?・・・均時差の話
(http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0508.htm)
をお読みいただけると有り難い。
◇体感的には日が一番短いころかな?
既に書いたとおり、日の長さを「日出〜日没までの時間の長さ」と考えると
冬至の日が一年で一番日が短い日ということになるのですが、体感的にはど
うでしょうか?
私個人の感想ですが、日常の生活の一区切りとしての仕事の終わりの時刻に
近い日没の時刻の早い遅いは、体感的な日の長さに強い影響を与えている気
がします。
夏場なら仕事が終わってもまだ外は明るかったのに、この時期だと月や星が
見えているとなると、「ああ日が短いな」と思わずにはいられません。それ
もこれも、「時計の時間」で生活するのが当たり前になっており、かつ、生
活の区切りに近い時間帯にやって来る日没の時刻に着目した結果です。
こんな感覚を持った私からすると、体感的には
冬至の前に日が伸びる
という現象が起こります。
あくまでも体感的な話ですから、私と違って朝早くに仕事が始まるために、
日常的に日が昇るのを目にする機会が多いという方、あるいは早朝の散歩や
ジョギングを日課としているような方であれば、これとは違った感覚を持つ
方もいらっしゃることでしょう。
さて皆さんは、どちらのタイプでしょう?
考えて見ていただけませんか?
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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