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■節供の話
 明日は雛祭り、上巳の節供です。
 上巳の節供の話は、また明日に取っておけるので、本日は個々の節供の話の
 まえに、「節供」の話を取り上げたいと思います。

◇節供と節日(せつにち)
 一年の中で季節の区切りや、社会生活、農耕や漁労などの開始や終了の時期
 を示すなどの目的で設けられた、節目となる日があります。こうした節目と
 なる日を「節日(せつにち)」と呼びます。

 元日や少し後に登場する五節供といわれる日や、国や地域の祭の日などが節
 日です。こうした節日に供される膳のことを「セチク」といい、「節供」の
 文字が使われました。元々は節日の膳からきたこの節供が今では、節日自体
 を示す、「節供(せっく)」という言葉になったのです。

 これが「せっく」という読みからいまでは「節句」と書かれるようになり、
 今ではこの節句の方が本来の節供より幅を利かせるようになっていますが、
 私の場合、本来の意味を忘れないためにも、極力「節供」の文字を使ってお
 ります。
 ということで、以下の説明でも「節供」を使います。

 既に書いたように、節日には地域の祭りといったものも含まれます(社会生
 活じょうの節目の日ですから、地域社会の節目の日も当然含まれる)ので、
 地域地域で異なる節日、節供があるはずですけれど、これを網羅するのは大
 変。こよみのページごときでは手におえないので、かわうそはしっぽを巻い
 て、広く日本全体で行われるもの、その中でもとりわけ知られた五節供につ
 いて書いてみます。

◇五節供とは
 節供とは季節の節目となる節日であると既に書きましたが、その節日の中で
 も、特に重要視された 5つの節日を五節供といいます。その五節供とは、

  人日の節供 (七種の節供) ・・・ 一月七日
  上巳の節供 (桃の節供、雛祭り)・ 三月三日
  端午の節供 (菖蒲の節供) ・・・ 五月五日
  七夕の節供 (笹の節供)  ・・・ 七月七日
  重陽の節供 (菊の節供)  ・・・ 九月九日

 です。最初に書いたものが節供本来の名前(?)で、後に続く()内は一般
 に知られた呼び名です。
 本来の呼び名の中には、読みにくいものもあります。

  人日(じんじつ) 上巳(じょうし) 端午(たんご)
  七夕(しちせき) 重陽(ちょうよう)

 のように読みます。
 ご覧の通りで、基本的には奇数の月で、月と日の数字が同じになる(これを
 重日(ちょうじつ)といいます)日が節供になります。
 人日だけは、重日になっていませんが、どうやら大昔はこれも一月一日に行
 われていたようです。
 しかし、一月一日は、他の行事も沢山あったためか、一月七日に変わってし
 まいました。

 もっとも、「変わった」のは日本に暦や五節供などの慣習が伝わるより前の
 時点だったので、日本に人日の節供が伝わったときには、既に現在と同じ一
 月七日となっていました。

 五節供それぞれには、その節供と結び付きの強い植物があって、その植物を
 冠した呼び名があり、現在はこちらの方が通りがよさそうです。その植物を
 冠した呼び名は()内の通り。

 この五節供は、江戸時代には重要な式日として祝われており、庶民にもその
 慣習が広がって現代に伝わってきました。皆さんも、よく御存じの名前が並
 んでいることでしょう。正式な呼び名は知らないという方もいらっしゃるか
 もしれませんが。

 明日は三月三日。五節供の一つ、「上巳の節供」。
 女児の節供として知られえた節供ですから、女の御子さんがいらっしゃるご
 家庭では、準備なさっているかもしれませんね。
 桃の花にはまだ少し早い時期ですけれど、楽しい節供となるとよいですね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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