日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■母の日の花、カーネーションの話
明日5/13は 5月の第 2日曜日、「母の日」です(2018年は)。
母の日といえばカーネーション。
本日は、母の日と切っても切れないカーネーションの話を書いてみます。
(「暦のこぼれ話」・・・じゃないかな?)
◇カーネーションの生まれと名前の由来について
カーネーション(carnation) は地中海沿岸が原産の花といわれ、ギリシャ
やローマにおいては古くから親しまれた花でした。
神々の主であるゼウスの祭りにはこの花で作られた冠をかぶる習わしがあっ
たそうです。
この花の名前であるcarnation の語源は王冠を意味するコロナ(corona)に
由来するといわれます。これは花の形が王冠に似ているというのもあります
が既に書いたとおり古くから神聖な冠を作る花であったこととも関係がある
のではないでしょうか。
◇キリスト教とカーネーションの関係
カーネーションの花はキリスト教においてもまた神聖な花です。
キリストが十字架に掛けられた日にそれを見送った母、マリアの流した涙の
跡に咲いたのがカーネーションだったとされています。つまりカーネーショ
ンはキリスト教においては
母と子 ・・・ マリアとイエス
の関係を象徴する花なのです。
現在日本に定着している「母の日」はアメリカの「母の日」に由来するもの
です。この本家(?)アメリカの「母の日」を提唱したのは、アンナ・ジャ
ービスという方でした。カーネーションは、このアンナさんのお母さんが愛
した花ということで、アンナさんが母の愛を象徴するものとして選んだこと
から、現在の「母の日にはカーネーション」という関係が生まれました。
なんだ、提唱者のお母さんの好みの花と言うだけか
そう言ってしまうと身も蓋もありませんが、アンナさんのお母さんは、26年
間教会の日曜学校の教師を務めた熱心なクリスチャンであったことことを考
えると、この花を愛した理由の一つには、マリアとイエスの故事があったの
ではないでしょうか。
また、こんなお母さんに育てられたアンナさんもまた、この故事は知ってい
たと思いますから、カーネーションが「母の日」を象徴する花として選ばれ
たのは、ただの偶然ではないと思います(どうでしょうね?)。
ちなみに、白いカーネーションは、十字架にかけられる前のイエスとマリア
を、赤いカーネーションは復活したキリストをそれぞれ象徴するのだそうで
す。このことから、母を亡くした人はこの日に白いカーネーションを、母が
存命の人は赤いカーネーションを胸に飾るのだそうです。
◇余談ながら・・・
お気づきでしょうか?
今では、「母の日にはカーネーションを贈りましょう」のように、カーネー
ションは、お母さんに感謝の印として贈るものと一般的には考えられている
と思われますが、元々は、
母の愛に感謝し胸に飾る
ものだったのです。
ただ一輪、胸に飾るだけではその消費量は微々たるもの。
花屋さんからすると、花束なり、鉢植えなりをお母さんに贈ってくれる方が
有り難いから、こうなったのかな?
まあ、折角の「母の日」を前に、みみっちい話はやめておきましょう。
口直しとして最後はカーネーションの花言葉で締めましょう。
赤いカーネーション ・・・ 母の愛・愛を信じる
白いカーネーション ・・・ 私の愛情は生きている
などなど。
なるほど、母の日にはよく合う花言葉ですね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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