こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■散々な日
 記念日は喜ばしいものが多いのですが、中にはそうではないものも。
 今日、1/25の記念日を眺めていると「そうでないもの」が並んでいます。
 なんか、散々な日みたい。

・左遷の日
 散々な日のスタートはといえば、「左遷の日」。
 多くの人にとって、あまりありがたくない記念日ですね。

 この左遷の日は、菅原道真(すがわらの みちざね)が右大臣から大宰権帥
 へと左遷された日とされる 901(延喜元)年1/25に因む日です。
 この日は、現在の季節で云うと2/21頃になります。

 左遷された道真を追って、一夜で太宰府まで飛び、その地で根付いたと云う
 飛梅伝説の梅も、この時期だともう咲いていたでしょうから、その花を見て
 あの、

  こちふかば にほひおこせよ 梅の花
  あるじなしとて 春なわすれそ

 を詠んだのでしょう。
 現在の暦での1/25だと、飛梅も道真をすぐに追いかけてくれたか?

  「もう少し暖かくなったらね」

 なんてことにならなくてよかったですね・・・。
 ちなみに、この日は左遷されてしまった菅原道真公に所縁のあるもう一つの
 記念日です。それは、天神様の縁日(毎月25日)。

 偶然ですが、左遷された日の日付25日は、道真公の命日でもあります(903
 年2/25)。この日がなぜ天神様の縁日なのかというと、道真公が左遷された
 地、太宰府で亡くなってから、都では落雷の被害が相次ぎ、また道真公を陥
 れ、左遷した藤原時平(ふじわらの ときひら)の急死などがあって、これ
 は道真公が死後、怨霊となって祟っているのだと考え、恐れた人々がその怒
 りを鎮めるために天神様として祭ったためです。

 元々「天神」は雷神として崇められていたそうで、道真公は死後、怨霊とな
 って都に落雷被害をもたらす雷神になったという噂が都で拡がり、

  天神様 = 道真公

 と考えられるようになったためだとか。
 後には、道真公が学問に優れた人物であったことから、天神様は学問の神と
 考えられるようになり、現在では雷神としての恐ろしい面は忘れられて、専
 ら学問の神様として、全国の受験生とその家族の合格祈願先として人気の高
 い神様となっています。

 まあ、現世で左遷され、死んでから敵対者達の罪滅ぼしの意味で神様にまで
 祭り上げられても、道真公は嬉しくないかもしれませんが、何にもないより
 はましかな?


・お詫びの日
 こちらはというと世界史で「カノッサの屈辱」、あるいは「カノッサ事件」
 として知られる事件のあった日。西暦1077年のことです。

 高校の世界史の時間に教えられた内容で、なぜかこの1077年のカノッサの屈
 辱と、その少し前の1066年のノルマンディー公によるイギリス制服の二つだ
 けは強烈に覚えております。
 なぜかな?

 自分の思い出話はさておき、このカノッサの屈辱は、ローマ王ハインリッヒ
 4世とローマ教皇グレゴリウス7世との間で起こった、聖職叙任権闘争の結
 果。世俗の権力者であるローマ王と宗教界の権威者、ローマ法王との戦い。

 今の日本から考えるとピンとこない事件ですが、結果は、宗教の権威者の勝
 利に終わり、ローマ王ハインリッヒ4世が、教会からの破門を解いてもらう
 ために、北イタリアのカノッサ城に滞在中のローマ教皇に面会を求めたが、
 断られ、やむなく雪の降る城外で、修道士の姿となり、裸足で3日間、許し
 をこうて、ようやく破門を解かれたという事件です。

 王様でも、宗教の権威は打ち破られなかったんですね。
 以後、この事件は王ですらも教皇の権威の前には跪くという教皇権の優位性
 を示すものとされたかと思えば、教皇に敵対する人々からは批判の対象とな
 ったり、後々まで尾を引く事件となりました。

・日本最低気温の日
 これは、一般的には「散々な日」には入らないかもしれませんが、寒いの大
 嫌いな私からすると、「散々な日」の基準をクリア。
 ということで、勝手に散々な日の仲間入りです。

 この日は1902年(明治35年)、北海道の旭川地方気象台で-41.0℃という日本の
 最低気温を記録した日です。ちなみに、歴代2位の最低気温は、この日の翌
 日の1902/1/26。この両日は、北海道や東北はとてつもない寒気に覆われてい
 たことがわかります。

 ちなみに、このとてつもない寒気に覆われた東北で発生したのが、八甲田山
 死の彷徨として知られ、199名もの犠牲者を出した

  八甲田雪中行軍遭難事件

 でした。
 こうしてみると、私個人の感想は別としてもやっぱり、「散々な日」だった
 といえそうです。

 ああ、こんな散々な記念日の並んだ今日ですが、現実の世界では無事に一日
 が終わることを祈ります。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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