暦と天文の雑学 http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0240.htm http://koyomi8.com/ こよみのページ
←目次へ戻る  ☆この記事の評価は記事末
新月、満月は世界中同時?
   「新月や満月となる瞬間は、世界中同時です。
 日本とアメリカでその瞬間が異なるということはありません。」

こよみのページのあちこちにこうした説明を書いています。
ここでいう新月や満月は、天文学的な新月、満月(時には半月なども)のことです。現在新月とか満月という場合は、この天文学的な新月や満月を指します。新聞や天気予報などの「明日の暦」などのコーナーで取り上げられる新月、満月はこれです。

天文学的な新月、満月
天文学的な新月や満月は、地球中心から見た月の中心と太陽の中心のなす角(黄道座標の経度の差として計算される)で定義されます。月の朔望右の図をご覧下さい。
これは、月が地球の周りを巡る様子を黄道面(地球が太陽の周りを巡る公転面)を真北から見下ろした状態で描いたイメージです。説明のための模式図なので地球、月、太陽の大きさ、距離などは現実とは全く違います。あくまでもイメージをつかむための図です。

この時、地球と太陽を結んだ線上に月が来ると新月または満月に、この線に直交する線上に来たときに半月(上弦および下弦)となります。
この時計算の対象となるのは地球・月・太陽ともそれぞれの「中心」です。
ですから、天文学的な新月や満月、半月はそれを眺める人が地球上の何処にいようと関係なく、同時に起こります。

同時に起こること ≠ 同じ日に起こること
天文学的な新月や満月というのは世界中同時なのだということはご理解頂けたことでしょう。この説明をすると

 「世界中同時だと言うことは、世界中同じ日に起こるんですね」

と考える方がいらっしゃるのですが、「世界中同時」は「世界中同じ日」とは意味が違います。それを説明するのが次の図です。
説明の図は、日本時で○年△月15日の 9時に新月となったという想定で作っていますが、新月以外でも、日時が異なっていても原理は同じです。

新月の図
ある「新月」の
世界の日時

(日本時 ○年△月15日 9時が新月だとしたら)
場所時刻
日本15 9時
中国15 8時
インド15 5時30分
イギリス15 0時
アメリカ(東部)1419時
ハワイ1414時
新月の図(拡大)
左には図と共に、この「新月の瞬間」の世界各地の日時を表にして示しました。ご覧の通り、新月の瞬間は世界中同時ですが、それぞれの場所の日時で示せば、その値は違っています。違いの原因は時差です。

「新月の瞬間」は世界中同時であっても、地球上にはその瞬間が昼の所も夜の所も有って、それぞれがそれぞれの時刻でこの瞬間を表すので違っているように見えます。
この図の例では

  日本 :こちらは日本の ○年△月15日の 9時。新月となりました。
  ハワイ:こちらはハワイの○年△月14日の14時。新月となりました。

という具合になります。例では日本とハワイの間では時間だけでなく日付も一日違っています。

世界中同じ日でないとどうなる?
世界中同時ではあっても同じ日ではないとどうなるか。実際の月の朔望にあわせた太陰暦、太陰太陽暦を使っているような場合は、同じ計算方法で計算しても所によって暦の日付が異なることになります。

今回の例では、日本と中国では時差はあっても日付は変わりませんでしたが、日本時の 0時〜 1時の間に新月を迎えたときには、日本と中国の間で新月の日付が異なることになります。
日本の旧暦も中国の農暦(中国の旧暦の呼び名)もほとんど同じ計算方式ですが、この時差のために時折、日付が違うことがあります。

中国などで刊行された万年暦などをそのまま書き写して日本の旧暦の日付として使うような場合は、注意しないといけません(その逆も同じ)。

今回の話は、暦の計算などしているものにとってはあたりまえのことなので、普段はわざわざ説明することもないのですが、単純な割には誤解されやすい話ですので取り上げてみました。
今回の説明で、一人でも「これまで誤解していました」という方の誤解が解けたら書いた甲斐があるのですが、さてどうでしょうか?
くどいだけだったりして。今頃になって心配になってきました。
あらら
■この記事を評価してください(最高5 〜 最低1)
  良 →  やや良→  普通→  やや悪→   悪 →
■2010.6.1〜現在までの 読者評価   , 閲覧数 

←目次へ戻る
  【↑】前の話題 上弦の月と下弦の月はどう見える?
  【↓】次の話題 月齢を簡単に求める方法(月齢略算式)
こよみのページ http://koyomi8.com/(http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0240.htm) 暦と天文の雑学