暦と天文の雑学
http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0770.html
http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0770.html
二百十日
今年も台風の襲来する季節となってきました。
現在では気象学が発達し観測技術も高度に発展していることから台風の接近の時期はかなり正確に予測できるようになり、このため台風による被害も昔に比べれば遙かに少なくなってきてはいますが、人工衛星や高層の雲のレーダー映像などを活用できなかった昔は秋に訪れる台風は恐ろしい存在でした。
台風が来襲する時期は、日本にとっては最重要な農作物である米の生産においてもその収穫時期に当たり、台風が稲の前に来るか後に来るかでその年1年の努力が水泡に帰すことすらあるわけですから気が気ではなかったでしょう。また、漁をする人たちにとっても海上で嵐に遭遇すれば当に生死に関わるのですから、台風の来る日を事前に知ることが大変重要でした。
こうして「嵐の来る日」として暦に載るようになったのが「二百十日」です。二百十日とは立春の日から数えて210日目の日だということから名付けられたものです。同じような名前の暦日としては「八十八夜」や「二百二十日」があります。
二百十日を最初に掲載した官暦は貞享暦。1684年のものです。貞享暦の編纂を行った渋川春海が釣り好きで、たびたび出かけた品川の漁師から教えられたのがきっかけだと言われていますが、それより以前に出された民間の暦、伊勢暦(1656年)に既に記載されていたとそうですので、実用性を考えてこれを暦の雑節として取り入れたものと考えられます。
二百十日は立春の日からの日数ですので、現在の暦であれば9/1(立春が2/4の場合)頃で変化しません。ただ旧暦の時代は毎年月日が変化してしまうため暦注として記載して注意をしていたものです。
初出 2001/08/31
修正 2014/07/14 (画像追加)
修正 2020/08/27 (「暦の雑節」へのリンク追加)
今年も台風の襲来する季節となってきました。
現在では気象学が発達し観測技術も高度に発展していることから台風の接近の時期はかなり正確に予測できるようになり、このため台風による被害も昔に比べれば遙かに少なくなってきてはいますが、人工衛星や高層の雲のレーダー映像などを活用できなかった昔は秋に訪れる台風は恐ろしい存在でした。
台風が来襲する時期は、日本にとっては最重要な農作物である米の生産においてもその収穫時期に当たり、台風が稲の前に来るか後に来るかでその年1年の努力が水泡に帰すことすらあるわけですから気が気ではなかったでしょう。また、漁をする人たちにとっても海上で嵐に遭遇すれば当に生死に関わるのですから、台風の来る日を事前に知ることが大変重要でした。
こうして「嵐の来る日」として暦に載るようになったのが「二百十日」です。二百十日とは立春の日から数えて210日目の日だということから名付けられたものです。同じような名前の暦日としては「八十八夜」や「二百二十日」があります。
二百十日を最初に掲載した官暦は貞享暦。1684年のものです。貞享暦の編纂を行った渋川春海が釣り好きで、たびたび出かけた品川の漁師から教えられたのがきっかけだと言われていますが、それより以前に出された民間の暦、伊勢暦(1656年)に既に記載されていたとそうですので、実用性を考えてこれを暦の雑節として取り入れたものと考えられます。
二百十日は立春の日からの日数ですので、現在の暦であれば9/1(立春が2/4の場合)頃で変化しません。ただ旧暦の時代は毎年月日が変化してしまうため暦注として記載して注意をしていたものです。
- 三大厄日
- 嵐の来襲する確率の高い日(荒日:あれび)として、八朔・二百十日・二百二十日の3日は、三大厄日として怖れられました。ちなみに八朔は旧暦の八月一日(朔日)のことです。
- 風祭り
- 農作物を風害から守るため、神に祈る祭り。二百十日前後に行われることが多い。
- 獅子舞によって風神を追い払う行事や、家の棟木の両端に風切り鎌を外向きにたてる習俗も中部地方・北陸地方などに残っています。これも風神を追い払うための行事。
- 獅子舞によって風神を追い払う行事や、家の棟木の両端に風切り鎌を外向きにたてる習俗も中部地方・北陸地方などに残っています。これも風神を追い払うための行事。
|
- 余 談
- 台風の思い出
- 小さな頃から嵐の日は何か特別なことの起こる日のような気がして、うきうきしていた。
台風が近づき、田圃の稲穂を風が吹き分ける「野分け」の様子を見るのが好きだった。農家の人の苦労なんて考えもしなかった子供の頃。
大人になった今でも、やはり風の音を聞くと何かわくわくしてしまう。
初出 2001/08/31
修正 2014/07/14 (画像追加)
修正 2020/08/27 (「暦の雑節」へのリンク追加)
■この記事を評価してください(最高5 ~ 最低1)
※2010.6.1~の記事の評価 , 閲覧数
http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0770.html
暦と天文の雑学
暦と天文の雑学