このページは暦注計算で表示する暦注に関する説明を載せています。

「暦中計算」では、よくたずねられる主な暦注の日付計算ルーチンを載せて行きます。
皆さんの要望が多いものから、少しづつ追加してゆきます。 
(追加の希望は、koyomi37@yahoo.co.jp までどうぞ)

掲載暦注とその説明 (その1)

  • 十干と十二支
    暦注と言うべきか躊躇するが、一応説明。
    暦の日付や、年月など数字で表せるものには、ほとんど十干と十二支が配当されている。ここで表示されているものは日の十干と十二支。
    古代から連綿と循環し、続いている。他の暦注のように途中で並びが変化するようなことは無く、古い文献では日付を表す方法として「××年○月庚申」などと記されことが多い。
    これ自体は暦注とはいえないかも知れないが、他の暦注はこれによって定まることが多いので表示している。
     
  • 十二直(じゅうにちょく)別名、中段
    古くからある、由緒正しい(?)暦注。昔の暦の記述が上・中・下段に別れていたうち、中段に書かれたことから、別名「中段」とも呼ばれる。
    選日法は、節切りの旧暦月の最初の特定の十二支の日を「建」とし(これを月建という)以後、順に繰り返して行く。ただし、二十四節気の「節」にあたる日は、前日の十二直を繰り返しすため、これ以降順番が1つずれる。
    月毎の特定の十二支は、
    正月 寅 二月 卯 三月 辰 四月 巳
    五月 午 六月 未 七月 申 八月 酉
    九月 戌 十月 亥 十一月 子 十二月 丑
    となる(ただし、月は節切りの旧暦の月)。
    古くは、暦注と言えば「中段」と言うくらい占いには重要視されたもの。
    十二直 吉凶 不本意ながら十二直の吉凶詳細
    建(たつ) 中吉 柱立て、棟上げ、元服、新事業開始、婚礼、旅行、金銭の収納等吉。屋敷内の土動かし、物出し、舟乗り始めは凶。
    除(のぞく) 小吉 種まき、医者にかかり薬を飲むこと、井戸掘りは吉。婚礼、土動かしは凶。
    満(みつ) 大吉 移転、旅行、婚礼、元服、普請はど全て吉。
    平(たいら) 大吉 地固め、柱立て、種まき、移転、婚礼、祝い事全て吉。特に婚礼は大吉。
    定(さだん) 小吉 種まき、移転、祝い事、売買こと等は吉。特に婚礼は大吉。普請、造作、植木の手入れなどは凶。
    執(とる) 小吉 婚礼、種まき、井戸掘り、造作等は吉。金銭収納、財産整理などは凶。
    破(やぶる) 大凶 訴訟、交渉事は吉。神仏祭祀、普請、造作、移転、祝い事は凶。特に婚礼は大凶。
    危(あやぶ) 大凶 酒造りだけは吉。他は全て凶(現在の日本で考えれば、造酒屋さん以外はみんなに悪い日?)
    成(なる) 小吉 見合い、結納、婚礼、新規事業開始、開店、種まき、普請、造作、移転は吉。特に結納は大吉。訴訟、交渉事は凶。
    納(おさん) 小吉 作物の取り入れ、物品買い付け、買い入れ、新築など吉。婚礼、見合いなどは凶。
    開(ひらく) 小吉 井戸掘り、造作、婚礼、元服などは吉。葬式などの不浄事は凶。
    閉(とづ) 金銭収納、墓作りは吉。造作、旅行は凶。
    占いも程々に・・・かわうそ@暦の良心でした
  • 二十八宿(にじゅうはっしゅく)
    元々は、インドの星占い。古代中国では月が星の間を移動して、27〜28日で1周することから、ある日に月がある星座を「月が宿る星座」として二十八宿を定めていた。これがインドへ渡り星占い化した(この際、「牛宿」を除いた二十七宿となる)。ただし現在の二十八宿は、月の動きとは離れ、日付との関連で割り振られるものとなった。
    インドで占い化した二十八(七)宿は、仏典とともに中国へ逆輸入され、それが「宿曜経」として日本にも伝来した。日本では当初は二十七宿を用いていたが、貞享暦以後は中国流の二十八宿が採用されるようになった。「暦注計算」では基本的には中国流二十八宿により計算しているが、計算オプションの指定で、旧来の二十七宿表示も可能となっている(二十七宿計算は2003.09.20追加)。

    二十八宿・二十七宿の選日法
    • 二十八宿
      日の干支などと同様、28日周期で一巡して元に戻り、これを繰り返すだけである。
    • 二十七宿
      旧暦の各月毎に「宿」が定まっており、その月の朔日は月の「宿」となり、その後は宿の順番に割り振られる(但し、二十八宿の内の「牛宿」は除かれる)。
      正月 四月 七月 十月
      二月 五月 八月 十一月
      三月 六月 九月 十二月

      注意 「氏」は本当は、下に「一」がついた字ですが、標準のフォントが無いので、この「氏」で代用(御勘弁を!)。

    二十八宿
    吉凶 またも不本意ながら吉凶について
    角(かく)   衣類裁断、柱建て、酒造り、井戸掘りなど吉。葬式は凶
    亢(こう)   結納、婚礼、種まき、縫製など吉。造作は凶
    氏(てい)   「氏」は本当は、下に「一」がついた字です
    婚礼、酒造り、移転、種まきなど吉。造作、着初めなど凶
    房(ぼう) 大吉 婚礼、旅行、神事、造作、衣類裁断など大吉
    心(しん)   神事、仏事、移転、旅行など吉。造作には大凶。盗難に注意。
    尾(び)   婚礼、開店、移転、造作など吉。衣類裁断は凶
    箕(き)   造作は大吉。酒造り、財産の収蔵など吉。婚礼は大凶。葬式は凶。
    斗(と)   土動かし、造作は吉。
    牛(ぎゅう) 吉祥 「鬼宿」に次ぐ大吉日。正午付近の時刻を除き、すべて大吉。
    女(じょ)   髪すきなどを除き凶。葬式は大凶。
    虚(きょ)   入学など吉。造作、相談ごとなど大凶。
    危(き)   壁塗り、かまど作り、出行など吉。衣類の裁断等は凶。
    室(しつ)   祭祀、祈願、婚礼、船乗り、造作など吉。
    壁(へき) 大吉 造作、婚礼、衣類裁断など大吉。
    奎(けい) 大吉 婚礼、棟上げ、井戸掘り、旅立ちなど万に大吉。
    婁(ろう) 大吉 婚礼、造作などに大吉。この日衣類裁断を行えば長寿を得る。
    胃(い)   就職、婚礼、造作に吉。衣類の裁断は大凶。
    昴(ぼう)   神仏への祈願、手斧始め(大工仕事の始め)、造作など吉。
    畢(ひつ)   神事、祭礼、造作、不動産の取得など吉。婚礼は凶。(注記:婚礼に関する凶の記載は「こよみの読み解き事典」に従ったが、この記載のない本も多い)
    觜(し)   入学のみ吉。造作を行えば家財を失う。
    参(しん)   財を求める、養子をとる、造作、遠出など吉。
    井(せい)   神事、種まきなどに吉。この日衣類裁断すれば離婚となる。
    鬼(き) 最大吉 二十八宿中の最大吉日。万事に大吉。「鬼宿日」と呼ばれる。
    柳(りゅう)   造作に凶。葬儀を行えば不幸が重なる。
    星(せい)   療養の始め、馬乗りなどに吉。婚礼、葬儀は凶。
    張(ちょう) 大吉 出行、就職、婚礼など吉。種まき、養蚕などを行えば、利益が大いにあがる。
    翼(よく)   種まき、出行などに吉。この日の婚礼は離婚に至る。
    軫(しん)   万事に吉。衣類裁断のみは火災の難に注意。
    占いの館になってしまいそうだ・・・かわうそ@暦の愚痴
  • 旧暦
    正確には、旧暦という暦が存在しているわけでは無く、明治の改暦以前に使われていた天保壬寅暦の置閏法を現在の天体暦に当てはめて求めた「天保暦のようなもの」。
    各々勝手に計算しているだけと言われても仕方が無いものだが、地域の行事などと結びついている事情もあり、参考までに載せている。
     
  • 六曜(ろくよう) または、六輝(ろっき)
    江戸末期から流行し、明治に入り他の暦注が禁止されて以後、急速に広がった比較的新しい暦注。
    旧暦の月と日の合計を6で割ったときの剰余で決まる。このため旧暦の月日さえ解れば、誰でも簡単に求められる(詳しくは、六曜(大安・仏滅・・・)のはなしをお読みください)。それなのになぜか有り難がられる。不思議不思議。

    六曜 主な読み方 不本意ながら、六曜の吉凶(参考・・・「安政雑書」)
    先勝 (せんがち) 万事朝から昼までにすれば障りなし。但し昼過ぎより日暮れまでは悪い。
    友引 (ともびき) 友びきとて半ばよし。午の時(11:00-13:00?)悪し。この日葬礼出すべからず。大いに忌むべし。
    先負 (せんまけ) 万事朝より昼までは悪し。昼過ぎより日暮れまでは障りなし。
    仏滅 (ぶつめつ) 大悪日なり。万用ゆべからず。
    大安 (たいあん) 大安吉日なり。何事によらずよし。
    赤口 (しゃっく) 悪日なり。万忌むべし。但し午の時(11:00-13:00?)一時はさわりなし。
    迷信に振り回されるのは何事にも悪し・・・かわうそ@暦の良心でした

     
  • 九星
    六曜同様、明治の改暦で由緒正しい暦注が滅びた後に頭角を現した、胡散臭い暦注。
    一白水星 二黒土星 三碧木星
    四緑木星 五黄土星 六白金星
    七赤金星 八白土星 九紫火星
    九星は、五行と結びついて右の表のようにそれぞれに名が付いている(暦注計算では「一白」のように省略して表示)。この名を見るといかにもで天文と関係があると誤解されるのだが、九星は天文とは全く関係ないので注意して欲しい。
     
    九星は左の表のように縦・横・斜一列の合計がどれも同じ数になるという魔法陣の数値を一つずつずらしていくことで作られている。昔の人には神秘的に思えたのだろう。中国の河図伝説と結びつけて権威付けしているが、要するに数字の遊びである。
     
    年・月・日・時刻などに割り付け、それぞれ年家九星・月家九星・日家九星・時家九星と呼ばれる。年・月・時はその起点さえ判ればあとは順に割り付けられるものなので計算は簡単。と言うことで暦注計算では少々面倒な日家九星を表示してみた。
     
    日家九星は一白→二黒→・・・→九紫と続く陽遁と呼ばれる循環と、逆に九紫→八白→・・・→一白と続く陰遁と呼ばれる循環があり、180日毎に切り替わる(基本的に)。この切り替わりの時期は冬至・夏至に最も近い甲子の日で、冬至付近から夏至に向かっては陽遁、逆が陰遁となる。
     
    ただ、180日毎に切り替わると、陽遁・陰遁で360日で、1年の長さに5乃至6日足りない。このため、11年強毎に「閏」を設けて調整する必要があるが、この閏の挿入方法は、九星暦を作る者(流派)によってまちまちで、はっきりしない。また、日家九星の説明を書いた本を見ても、この肝心の置閏法について触れていなかったり曖昧だったりではっきりしない。本当はよく解っていないんじゃないかと勘ぐりたいほどだ。

    仕方が無いので、日家九星の基本的な約束事から推理して、計算手順を決め、万年暦に記載された日家九星と比較した計算方法を「暦注計算」では採用した。とりあえず、市販されているメジャーな開運暦などと比べてみても違っていないので、いいのかなと思っている。計算の手順は以下のとおり。
    1. 夏至・冬至の日付を計算する
    2. 1 の日付の干支が六十干支の前半(甲子(0)〜癸巳(29))であれば、直前の甲子を、それ以外は直後の甲子を陽遁・陰遁の切り替え日とする。
    3. 2 で求めた日付の間隔が 180日なら通常の陽遁・陰遁の期間である(終わり)。
    4. 2 で求めた日付の間隔が 240日なら、後半の60日が閏。
    5. 閏の前半30日は直前の遁と連続(陽遁なら、陽遁)し、後半30日は逆転して次の 180日と連続する。
    6. 閏の前半・後半の切り替え部分は、おなじ九星(三碧か七赤)が連続する。
      日家九星計算の実験ページへ)
    ※注意:判定2 を2005.06.09〜2010.04.27まで(甲子(0)〜壬辰(28))はとしていました(変更は2010.04.27)。
    占いの本には、もったいつけて書かれていたが、夏至と冬至と甲子の日付と単純な規則で自動的に求まるみたいです。なーんだ。

    何度も書いたが、九星など何の根拠もない数字遊びの産物である。こんなもので自分の将来や行動を決定しないように(くれぐれも理性的な行動を!)。
→ 暦注の説明 (その2)
→ 暦注の説明 (その3)へ・・・「下段」の解説です

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