月の満ち欠け(朔望)の話
月の満ち欠け(朔望)の話
 月は満ちては欠け、欠けては満ちてと変化して止みません。このため変化するものの象徴、人間界では栄枯盛衰のたとえなどにももちいられてきました。
 申すまでもなく別に月本体が本当に欠けるわけではなく、太陽に照らされて明るい半面とその陰の見えない半面の地球から見える割合が変化するために起こる見かけ上の現象です。月が太陽と同じ方向にあると地球からは月の陰の半面しか見えませんので月が見えない状態「新月(朔)」となり、太陽と反対方向にあると明るい半面のみが見える「満月(望)」の状態になります。
 ちなみに、このことから月が太陽を隠す現象「日食」は新月のときにしか起こらず、地球の影が月を隠す月食は満月のときにしか起きません。
 今では、いつが新月でいつが満月かと言ったことはあまり実生活に影響しませんが(海辺では別ですがね)、太陰暦を用いていた頃は月の始め(一日)は新月の日でしたから、暦の日付と月の様子が結びついていましたから、満月を過ぎて月が段々と細くなると「もうすぐ給料日だ」なんてことを感じたかもしれません(昔々に、月末に給料日なんてものがあったならのはなしですが)。

 さて、月の満ち欠けは平均して29.53059日でこれを朔望月(さくぼうげつ)と呼びます。朔望の朔は新月を望は満月を示す言葉です。今でも月の始めの日のことを「朔日」と書くことがありますが、これは太陰暦を使っていた頃の名残ですね。
朔望説明図
現在は、天体の位置を示す黄道座標で月と太陽の黄経の差が
新月:(朔)0 度のとき
満月:(望)180 度のとき
半月:90度、270度のとき
と定義されています。

2004年の朔望月と
新月~満月、満月~新月
の間隔(単位:日)
新月
の日
朔望月新月
~満月
満月
~新月
1/2229.50915.48714.022
2/2029.55815.58113.977
3/2129.61115.51514.096
4/1929.64615.30014.346
・・・省略・・・
9/1429.51313.94515.568
10/1429.48514.01315.472
11/1229.46014.23615.224
12/1229.44014.56714.873
 上の説明中に朔望月の「平均は・・・」と書きましたが、わざわざ断ったようにこの値は一定せず、かなり変化します。また、新月から満月までの長さ満月から新月までの長さも同じではありません(2004年の例を右表に示します)。

この原因は、月の軌道、地球の軌道がそれぞれ円形でないこと、月と地球の軌道面が一致しないことが主な原因なのですが、それがどのように影響するかを説明するとなると、とても今回の話の中で書ききれるようなものではないので、割愛させていただきます(月の軌道計算は、他の惑星の計算よりずっと大変なんですよ)。真面目に天文の本をお読みになることをおすすめします。いずれ、うまい説明方法が思い浮かべば改めて書いてみたいとも思います。期待せずお待ち下さい。
(これだけではあまりに不親切なので、「論より証拠」的ですが、年間朔望表なるページを作りました。朔望周期や、新月・満月の期間の変化など、こちらのページで御覧くださればどのくらい変化するかわかると思います。参考にして下さい。)
その後にこんな話も書きましたので、お時間があればお読みください。
余 談
 そういえば、「遡る(さかのぼる)」と言う字には「朔」の字が入っています。昔は日食でもなければ直接観測できない新月(朔)の瞬間は、実際に月が見えるようになった日から遡って求めたことからさかのぼるという意味の字になったとか。
 
 始めに、変化するものの象徴として月が使われたことがあると書きましたが、また一面では満ちては欠け、欠けては満ちて再び元の状態に戻ることから不変なものの象徴としても用いられていました。
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