暦と天文の雑学
http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0450.html
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星占いと星座の話(あなたは本当に××座の生まれ?)
この例文ではありませんが「あなたは何座の生まれ?」と聞かれたことはありませんか?。占いに興味のあると称する人の会話を聞くと「何座生まれか?、血液型は?、動物のタイプは?」といった言葉がかなりの頻度で耳に入ります。
この文章を読んでいるあなた、自分の誕生日の星座をご存じですか?
あまりそういった占いに興味のない方でも自分の誕生星座くらいはいえるのではないでしょうか?
しかし、あなたの誕生星座って本当に現在思っている星座なんですか?
一時期13星座占いなるものが流行りましたね。いつの間にか消えてなくなりましたが。その13星座は太陽の通り道である「黄道」が普通の星占いで用いられる12星座には含まれていない蛇使い座も通るから、蛇遣い座も加えて13星座で占うべきだというものでした。その上「厳密に」太陽が各星座の領域にある時期に合わせて誕生日を細分する等々もっともらしいことを主張していましたね。まあ、定着しなかったところを見るとみんなも「馬鹿馬鹿しい」と思ったのでしょうか。ただ、この馬鹿馬鹿しい13星座占いの根拠にされた「黄道」は、現在一般に使われている占星術でも誕生星座を決める根拠となるものだったのです(多分ね)。
昔々、現在の西洋占星術の源流となった思想が古代バビロニアで生まれた頃、人が生まれた時の星の位置はその人の運命を示すと考えられ現在の「誕生日占星術」へとその考えが引き継がれてきました。「星の位置」に関しては太陽、月も含めた7惑星(もちろん地球は除く)の影響と、この7惑星以外の星が構成する星座の関係が問題とされました。
殊に、人が生まれた瞬間に太陽が存在した星座は重要視され、それが普通にいう「誕生星座」となります。このことから、誕生日の夜に誕生星座は見えないことがわかります。この辺の事情は誕生星座は誕生日に見えるか?をお読みください。
さて、それでいくとこの説明分の最初に書いた「9月生の乙女座の方」が生まれたとき、太陽はおとめ座の方角にあったことになるのですが、実際はどうでしょうか?。
普通の占いの本を開くと乙女座生まれとは8/23~9/22の間の生まれということになりますが、このときの太陽位置は残念ながらおとめ座ではありません。この時期の太陽はしし座付近にあるのです(右図参照)。
なぜこれが起こるかというと「歳差」といわれる現象のためです。太陽の通り道「黄道」の面(黄道面)は地球の赤道面と春分点と秋分点を交点として交わっており、春分点位置を0度として位置を測る起点としています。現在の誕生日占星術が完成期に達したおよそ2200年前、この春分点はおひつじ座にありました(このため、天文学で春分点を示す記号は今でも、おひつじ座を表す記号が使われています)。占星術の星座(黄道十二宮)は、この春分点が位置したおひつじ座を第一宮として順次第十二宮へと巡ってゆきます
つまり春分点の位置がすべての起点となっている訳なのですが、この春分点の位置は前述の歳差運動のため1年間に角度にして約52秒(1秒=1/3600度)ほどずれてゆきます。
歳差運動が起こる理由は、地球の赤道面が黄道面にたいしてゆっくりと回転するためです(約2万6千年で1回り)。
占星術が出来てから2200年間、占い師たちはこのことに目をつぶっていたらしく(歳差の存在は2200年前には既に知られていました)、現在では当初に決められた星座と太陽の位置関係が狂ってしまいました。どれくらいずれているかというと
2200年 × 52秒 = 114,400秒 ≒ 31.8度
1つの星座は30度の幅を持ちます(実際の星座の幅はまちまちですが、黄道十二宮は太陽がどの位置にあるかを示すための指標ですので、360度を12で割った30度の幅と考えている)ので、31.8度というと星座1つ分のずれということになります。
占いの本を開くと、この点を突かれたときの時のためでしょうか、実際の星座(おとめ座など)と占いで使う十二宮(処女宮など)は違うんだというような説明をするのですが、その星座の性格を示す内容は古代バビロニアの人々、あるいはそれが伝わったギリシャの人々が「空の星座」の形や伝承に託した内容に沿って定義されているのを見れば、やはり「空の星座」に対する占いであることは間違いないと私は考えるのですが、みなさんどう考えますか?
最初の例に戻れば、
乙女座生まれと思っている人が生まれた時の太陽の位置はしし座で、ひょっとしたら獅子座が正しい誕生星座だとしたら、乙女座と獅子座では性格特徴が全く違うんじゃないのかな?
歳差によって春分点が移動することは天文に興味があれば誰でも知っているような常識的なことなのですが、占いでは「星座1つ分」の違いは、誤差の範囲なのでしょうか?。みなさんは星座が1つづれているとわかっても星占いってよく当たると思えますか?
「おまけ」
黄経に基づいて星占いの十二宮とその位置に現在ある星座を並べてみました。実際の星座は、大きさもまちまちですので概位(およその位置)としました。
参考まで。
初出 2001/04/21
更新 2023/03/30 画像追加
私は9月生、乙女座の△△歳。
星と占いに興味のある○○です。
必ずお返事を書きますのでどなたかメル友になってください。
この例文ではありませんが「あなたは何座の生まれ?」と聞かれたことはありませんか?。占いに興味のあると称する人の会話を聞くと「何座生まれか?、血液型は?、動物のタイプは?」といった言葉がかなりの頻度で耳に入ります。
この文章を読んでいるあなた、自分の誕生日の星座をご存じですか?
あまりそういった占いに興味のない方でも自分の誕生星座くらいはいえるのではないでしょうか?
しかし、あなたの誕生星座って本当に現在思っている星座なんですか?
一時期13星座占いなるものが流行りましたね。いつの間にか消えてなくなりましたが。その13星座は太陽の通り道である「黄道」が普通の星占いで用いられる12星座には含まれていない蛇使い座も通るから、蛇遣い座も加えて13星座で占うべきだというものでした。その上「厳密に」太陽が各星座の領域にある時期に合わせて誕生日を細分する等々もっともらしいことを主張していましたね。まあ、定着しなかったところを見るとみんなも「馬鹿馬鹿しい」と思ったのでしょうか。ただ、この馬鹿馬鹿しい13星座占いの根拠にされた「黄道」は、現在一般に使われている占星術でも誕生星座を決める根拠となるものだったのです(多分ね)。
昔々、現在の西洋占星術の源流となった思想が古代バビロニアで生まれた頃、人が生まれた時の星の位置はその人の運命を示すと考えられ現在の「誕生日占星術」へとその考えが引き継がれてきました。「星の位置」に関しては太陽、月も含めた7惑星(もちろん地球は除く)の影響と、この7惑星以外の星が構成する星座の関係が問題とされました。
殊に、人が生まれた瞬間に太陽が存在した星座は重要視され、それが普通にいう「誕生星座」となります。このことから、誕生日の夜に誕生星座は見えないことがわかります。この辺の事情は誕生星座は誕生日に見えるか?をお読みください。
現在の誕生月と星座の関係 |
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普通の占いの本を開くと乙女座生まれとは8/23~9/22の間の生まれということになりますが、このときの太陽位置は残念ながらおとめ座ではありません。この時期の太陽はしし座付近にあるのです(右図参照)。
なぜこれが起こるかというと「歳差」といわれる現象のためです。太陽の通り道「黄道」の面(黄道面)は地球の赤道面と春分点と秋分点を交点として交わっており、春分点位置を0度として位置を測る起点としています。現在の誕生日占星術が完成期に達したおよそ2200年前、この春分点はおひつじ座にありました(このため、天文学で春分点を示す記号は今でも、おひつじ座を表す記号が使われています)。占星術の星座(黄道十二宮)は、この春分点が位置したおひつじ座を第一宮として順次第十二宮へと巡ってゆきます
つまり春分点の位置がすべての起点となっている訳なのですが、この春分点の位置は前述の歳差運動のため1年間に角度にして約52秒(1秒=1/3600度)ほどずれてゆきます。
歳差運動が起こる理由は、地球の赤道面が黄道面にたいしてゆっくりと回転するためです(約2万6千年で1回り)。
占星術が出来てから2200年間、占い師たちはこのことに目をつぶっていたらしく(歳差の存在は2200年前には既に知られていました)、現在では当初に決められた星座と太陽の位置関係が狂ってしまいました。どれくらいずれているかというと
2200年 × 52秒 = 114,400秒 ≒ 31.8度
1つの星座は30度の幅を持ちます(実際の星座の幅はまちまちですが、黄道十二宮は太陽がどの位置にあるかを示すための指標ですので、360度を12で割った30度の幅と考えている)ので、31.8度というと星座1つ分のずれということになります。
占いの本を開くと、この点を突かれたときの時のためでしょうか、実際の星座(おとめ座など)と占いで使う十二宮(処女宮など)は違うんだというような説明をするのですが、その星座の性格を示す内容は古代バビロニアの人々、あるいはそれが伝わったギリシャの人々が「空の星座」の形や伝承に託した内容に沿って定義されているのを見れば、やはり「空の星座」に対する占いであることは間違いないと私は考えるのですが、みなさんどう考えますか?
最初の例に戻れば、
星座 (十二宮) | 誕生星座ごとの性格・特徴 |
---|---|
乙女座 (処女宮) | 正義の女神アストレイアとも収穫の女神デメテルともいわれる星座。身を捧げて他人のために役立とうとする、援助と奉仕の精神がこの星座の特徴 |
獅子座 (獅子宮) | 帝位と王権を守護する星座。獅子は王者の星座であり、この星の元に生まれたものは名誉と富貴と権力を授けられ、正々堂々と王道精神を持っていきるのが本領の星座 |
誕生月 | 黄経 (度) | 十二宮 | 実際の星座 (概位) |
---|---|---|---|
3- 4 | 0- 30 | 白羊宮 | うお座 |
4- 5 | 30- 60 | 金牛宮 | おひつじ座 |
5- 6 | 60- 90 | 双児宮 | おうし座 |
6- 7 | 90-120 | 巨蟹宮 | ふたご座 |
7- 8 | 120-150 | 獅子宮 | かに座 |
8- 9 | 150-180 | 処女宮 | しし座 |
9-10 | 180-210 | 天秤宮 | おとめ座 |
10-11 | 210-240 | 天蠍宮 | てんびん座 |
11-12 | 240-270 | 人馬宮 | さそり座 |
12- 1 | 270-300 | 磨羯宮 | いて座 |
1- 2 | 300-330 | 宝瓶宮 | やぎ座 |
2- 3 | 330-360 | 双魚宮 | みづがめ座 |
歳差によって春分点が移動することは天文に興味があれば誰でも知っているような常識的なことなのですが、占いでは「星座1つ分」の違いは、誤差の範囲なのでしょうか?。みなさんは星座が1つづれているとわかっても星占いってよく当たると思えますか?
「おまけ」
黄経に基づいて星占いの十二宮とその位置に現在ある星座を並べてみました。実際の星座は、大きさもまちまちですので概位(およその位置)としました。
参考まで。
- 余 談
- 支配惑星の話
- 星占いでは、星座以外に「支配星」として月と太陽を含む10個の惑星をそれぞれの十二宮に割り振っています(水星と金星は2回づつ)。
- ご存じのとおり、天王星~冥王星の3星は望遠鏡が発明されて以後の発見ですからそれ以前の星占いには登場しません。ということで、現在この3星が支配星となっている星宮には「副星」として「昔の支配星」の名前が残っているようです。どうしても現在の星占いの支配星じゃ嫌だという方、いらっしゃったら、自分で新惑星を発見すれば変えられルカも知れませんね。
初出 2001/04/21
更新 2023/03/30 画像追加
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