暦と天文の雑学
http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0737.html
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「四万六千日」と「欲日」の話
7月10日は「四万六千日(しまんろくせんにち)」と呼ばれる観世音菩薩の特別な縁日です。
なぜ、「四万六千日」というかというと一度のお参りで46000日分の御利益が得られるという、それはそれは有り難い日だからです。46000日分のお参りに相当する御利益というとどれほどのものなのか、数が大きすぎてピンときませんので、年換算してみましょう。1年を365.25日とすると
46000 ÷ 365.25 ≒ 126 (年)
これはすごい!
人生百年時代とか言われるようになりましたが、そんな長生きの時代になっても、まだ26年分もお釣りがきちゃいます。これを1日のお参りでというのは、ちょっと効率よすぎるんじゃないかと思えるほどです。
◇功徳日(くどくび)
縁日とは神仏とこの世の有縁(うえん)の日。ある神仏の降誕・示現など、特別の縁があるとして祭典・供養が行われる日で、この日に参詣すると大きな功徳があるとされます。本来は「会日(えにち)」であったものが、なまったものだと言われています。
本来、縁日は年に一度とか二度とかしかありませんでしたが、色々な神仏の縁日がある御蔭で、今ではほぼ毎日なにかの縁日が巡ってくるようになりました。縁日の日取りは暦の日付で決まるものや日の干支で決まるものなど、いろいろです。
縁日は特別な功徳のある日ということから功徳日ともよばれ、この日お参りすると、十日分、百日分、千日分、四万六千日分、九万九千日分など、1日でそれこそ、何万倍もの効果があると言われます。
縁日に特別な功徳があるとなると人は現金なもので、この日は大勢の「御利益を求める人々」でにぎわうようになりました。その為いつしか縁日はお祭りみたいなものとだと思われるようになってしまいました。まあ、神仏と有縁の日なので、本当に祭り(祭礼)だといっても間違いではないでしょうけれど。
この十日分・・・九万九千日分は、だいたい最初はつつましい日数(十日とか)から始まって、次第次第に大きな数字になってきたようです。あっちが十日詣でなら、うちは百日詣で、それならうちは千日詣で・・・となっていったことは想像に難くありません。
エスカレートするのはわかりますが、あんまり大き過ぎるとなんだか有り難みが薄らいでしまいます。1日お参りしただけで、多分一生涯の長さより長い126年分の御利益じゃ、いくらなんでも水増しがひどすぎます。料理なら味がついているのかどうかもわからなくなるほどの水増しでしょう。
◇「四万六千日」と「千日詣」
既に見てきたように四万六千日といえば 126年。人間の一生分+αです。人間の一生分のお参りの功徳があるということから
一生 → 一升
と掛けて、その一升分に含まれる米の粒の数 46000粒がこの日の功徳の日数とされたと言われていますが、さて本当かどうか? 一升に含まれる米粒が46000粒かどうかもも判りませんし。ちなみに四万六千日は別名「千日詣」とも呼ばれます。元々はこっちが最初にあって、それが既に書いたような「競い合い」の心理で四万六千日まで増えてしまったようです。かなりひどいインフレーションです。
◇四万六千日と鬼灯市
東京都台東区の浅草寺(せんそうじ)境内では、例年 7月9日、10日には鬼灯市(ほおずきいち)が行われ、風物詩となっています。この鬼灯市は江戸時代、明和年間(AD1764~1772)に始まったとされますので、かれこれ 250年あまり続いた行事ということになります。
この日は四万六千日の日ですから、昔から浅草寺には沢山の参詣者があり、この参詣者を狙って雷除けの呪い物として赤トウモロコシが売られていたそうです。ところが明治期にこの赤トウモロコシが不作の年がつづき、困った浅草寺から雷除守護(かみなりよけしゅご)の札が出されるようになりました。この頃から雷除けの呪い物が赤トオモロコシから鬼灯に取って代わり、これが鬼灯市となったとされます。
◇功徳日は「欲日」
功徳日にお参りするといつもの何十倍も何万倍も功徳があると言うことで、普段はまったくお参りなどしない人まで御利益を求めてお参りをします。普段から信心深い人からすればいい迷惑(?)ですね。こうした御利益目当ての人が沢山押しかける日であることから功徳日は別名
欲日(よくび)
とも呼ばれます。私は信心深くはありませんが、皮肉屋なので功徳日よりこの「欲日」という名前のほうに惹かれてしまいます。「欲日に集う、善男善女」、きっと毎年7月9日,10日の四万六千日には、浅草浅草寺はそんな善男善女であふれるのでしょうね。
【参考記事】(※外部サイト、浅草浅草寺HP)
四万六千日・ほおずき市
余談元は愛宕神社の鬼灯市
鬼灯市は元は愛宕神社で地蔵様の縁日の日に開かれていたとのことです。それが後発の浅草寺の鬼灯市が有名になってしまって、今では鬼灯市といえば浅草寺と言われるほどになってしまいました。
※更新履歴
初出 2024/07/14
7月10日は「四万六千日(しまんろくせんにち)」と呼ばれる観世音菩薩の特別な縁日です。
なぜ、「四万六千日」というかというと一度のお参りで46000日分の御利益が得られるという、それはそれは有り難い日だからです。46000日分のお参りに相当する御利益というとどれほどのものなのか、数が大きすぎてピンときませんので、年換算してみましょう。1年を365.25日とすると
46000 ÷ 365.25 ≒ 126 (年)
これはすごい!
人生百年時代とか言われるようになりましたが、そんな長生きの時代になっても、まだ26年分もお釣りがきちゃいます。これを1日のお参りでというのは、ちょっと効率よすぎるんじゃないかと思えるほどです。
◇功徳日(くどくび)
縁日とは神仏とこの世の有縁(うえん)の日。ある神仏の降誕・示現など、特別の縁があるとして祭典・供養が行われる日で、この日に参詣すると大きな功徳があるとされます。本来は「会日(えにち)」であったものが、なまったものだと言われています。
本来、縁日は年に一度とか二度とかしかありませんでしたが、色々な神仏の縁日がある御蔭で、今ではほぼ毎日なにかの縁日が巡ってくるようになりました。縁日の日取りは暦の日付で決まるものや日の干支で決まるものなど、いろいろです。
縁日は特別な功徳のある日ということから功徳日ともよばれ、この日お参りすると、十日分、百日分、千日分、四万六千日分、九万九千日分など、1日でそれこそ、何万倍もの効果があると言われます。
縁日に特別な功徳があるとなると人は現金なもので、この日は大勢の「御利益を求める人々」でにぎわうようになりました。その為いつしか縁日はお祭りみたいなものとだと思われるようになってしまいました。まあ、神仏と有縁の日なので、本当に祭り(祭礼)だといっても間違いではないでしょうけれど。
この十日分・・・九万九千日分は、だいたい最初はつつましい日数(十日とか)から始まって、次第次第に大きな数字になってきたようです。あっちが十日詣でなら、うちは百日詣で、それならうちは千日詣で・・・となっていったことは想像に難くありません。
エスカレートするのはわかりますが、あんまり大き過ぎるとなんだか有り難みが薄らいでしまいます。1日お参りしただけで、多分一生涯の長さより長い126年分の御利益じゃ、いくらなんでも水増しがひどすぎます。料理なら味がついているのかどうかもわからなくなるほどの水増しでしょう。
◇「四万六千日」と「千日詣」
既に見てきたように四万六千日といえば 126年。人間の一生分+αです。人間の一生分のお参りの功徳があるということから
一生 → 一升
と掛けて、その一升分に含まれる米の粒の数 46000粒がこの日の功徳の日数とされたと言われていますが、さて本当かどうか? 一升に含まれる米粒が46000粒かどうかもも判りませんし。ちなみに四万六千日は別名「千日詣」とも呼ばれます。元々はこっちが最初にあって、それが既に書いたような「競い合い」の心理で四万六千日まで増えてしまったようです。かなりひどいインフレーションです。
◇四万六千日と鬼灯市
東京都台東区の浅草寺(せんそうじ)境内では、例年 7月9日、10日には鬼灯市(ほおずきいち)が行われ、風物詩となっています。この鬼灯市は江戸時代、明和年間(AD1764~1772)に始まったとされますので、かれこれ 250年あまり続いた行事ということになります。
この日は四万六千日の日ですから、昔から浅草寺には沢山の参詣者があり、この参詣者を狙って雷除けの呪い物として赤トウモロコシが売られていたそうです。ところが明治期にこの赤トウモロコシが不作の年がつづき、困った浅草寺から雷除守護(かみなりよけしゅご)の札が出されるようになりました。この頃から雷除けの呪い物が赤トオモロコシから鬼灯に取って代わり、これが鬼灯市となったとされます。
◇功徳日は「欲日」
功徳日にお参りするといつもの何十倍も何万倍も功徳があると言うことで、普段はまったくお参りなどしない人まで御利益を求めてお参りをします。普段から信心深い人からすればいい迷惑(?)ですね。こうした御利益目当ての人が沢山押しかける日であることから功徳日は別名
欲日(よくび)
とも呼ばれます。私は信心深くはありませんが、皮肉屋なので功徳日よりこの「欲日」という名前のほうに惹かれてしまいます。「欲日に集う、善男善女」、きっと毎年7月9日,10日の四万六千日には、浅草浅草寺はそんな善男善女であふれるのでしょうね。
【参考記事】(※外部サイト、浅草浅草寺HP)
四万六千日・ほおずき市
余談
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初出 2024/07/14
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