日出没・月出没計算の解説と注意事項


解説の目次

  1. 日出没・月出没・正中・月齢とは
    1. 日出没とは
    2. 月出没とは
    3. 正中
    4. 月齢(月出没計算のみ)
    5. 薄明(日出没計算のみ)
  2. 特殊な条件での日出没計算オプションについて
    1. 高い場所からの日月出没を見る場合
    2. 出没方向に障害物がある場合
  3. 日出没・月出没表中の用語
    1. 出没時刻と正中時
    2. 方位角と高度角
    3. 昼時間と夜時間・・・(日出没計算のみ)
    4. 月合計・・・(日出没計算のみ)
    5. 月出没・正中が表示され無い日
    6. 二つの月出時刻表示部の意味・・・(月出没計算のみ)
  4. 使用上の注意・制限事項など
    1. 入力数値の単位等
    2. 計算の制限事項
    3. 日本以外での使用について
    4. 100年を越えるような、過去・未来の計算について
      1. 計算の誤差について
      2. 1873年以前の日付に関する注意
  5. 計算に関する諸条件
    1. 大気差
    2. 眼高差
    3. 地心視差
    4. 視半径
    5. 日出没時の太陽高度
    6. 月出没時の月高度
    7. 出没仰角を考えた場合の処理
      1. 大気差
      2. 眼高差
      3. 地心視差・視半径

日出没・月出没・正中とは 目次へ戻る
特殊な条件での日出没計算オプションについて
山や盆地など、やや特殊な環境でより現実に近い出没計算を行うために設けたものですので、一般的な日出没・月出没計算ではこのオプション変更する必要は有りません
オプションを用いる場合は、以下の説明を良く読んで使用してください。
  1. 高い場所からの日月出没を見る場合
    山や高台で日の出を見るような場合に役立つように、眼高(標高)補正機能を設けました。富士山のような独立峰で海から昇る太陽を見るような場合は、その標高を。周囲にも山が有るような場合はその標高差を指定することで、現実により近い日出没・月出没時刻が計算できます。標高(差)は m単位で入力してください。
  2. 出没方向に障害物がある場合
    日出没・月出没の方向に山や大きな建物が有る場合を考え、その対象物の仰角(水平位置を 0度、天頂を90度とする)を入力することにより、より現実に近い日出没・月出没の計算を可能にします。
    また、山から昇る(沈む)日や月の写真撮影などの撮影計画にも使うことが出来ます。
    (出没計算フォームの末に、対象物までの距離(km)と標高差(m)から仰角を計算するスクリプトも掲載しました)
    注意
    眼高、出没仰角等を変更した場合は必ず、「計算実行」ボタンを押して、再計算させてください。
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表示の内容についての解説

  1. 出没時刻と正中時
    出没時刻に「18:06」とある場合は、18時06分を表しています。
    正中時刻は、太陽または月がその地の子午線の上方(天頂に近い側)を通過した時刻です。
  2. 方位角と高度角
    方位角説明図高度角説明図
    方位は北を 0度として東回りに 360度測った角度です。正中時は方位ではなく高度角を表示しています(正中時刻の方位は 0度ないしは180度)。高度角は太陽、月ともその中心位置の値を示します。
  3. 昼時間と夜時間・・・(日出没計算のみ)
    昼時間は、日出から日没までの時間を表します。「11:37」と表示されていれば11時間37分を意味します。
    夜時間は、24時間から昼時間を差し引いた時間と考えています。
    ※表示における注意
    それぞれの表示は内部計算の結果の分未満を四捨五入した値です。四捨五入の関係で昼時間の値と「日月没時刻-日月出時刻」の値が 1分異なる場合がありますが、この場合は昼時間表示の方がより正確な値です。
  4. 月合計・・・(日出没計算のみ)
    昼時間と、夜時間の1月ごとの合計です。「372:37」と表示されていれば372時間37分を表します。
  5. 月出没・正中が表示され無い日
    月は 1日に約50分ほどずつ出没や正中時刻が遅れますので、1月に1度程度の割合で、月の出没、正中が起こらない日が生じます(下の例では21日には「月没」が無い)。
    月出没表示例
  6. 二つの月出時刻表示部の意味・・・(月出没計算のみ)
    或る一日の月出没の時刻が、
    1. 「月出→月没」となる時期 (上図19,20日の例)
    2. 「月没→月出」となる時期 (上図22,23日の例)
    のように時系列的に見ると出・没の順序が逆になる場合があります。このため月出と月没を取り違えることの無いように、月の出没に関しては表中で先に起こる現象が左側になるように表示しているため、月出の表示枠が二カ所あります。

使用上の注意・制限事項など
  1. 入力数値の単位等
    角度の入力箇所は全て「度」を単位で入力してください。仮に「東経135度30分」の位置を入力したい場合は、「135.50」と入力することになります。また、全国107箇所の地名リストから選択することも出来ます(地名リストから選んだ場合は、経緯度と時差等は自動的にセットされます)。
  2. 計算の制限事項
    計算は、基本的には地平線が見通せる場所、標準的な気温と気圧を想定しております。また極圏に近い高緯度地域では、正しく計算できない場合が有りますので、特殊な用途でのご使用には十分注意してください。
  3. 日本以外での使用について
    デフォルトでは日本標準時(JST = UT + 9時間)に設定されていますが、「世界時差」でその国の時差を与えれば日本以外の国でも使用することが出来ます。ちなみに、経緯度を「東経」で表す地域はおおむね「+」の時差、「西経」で表す地域は「-」の時差であると考えてください(稀に、例外も有ります)。
  4. 100年を越えるような、過去・未来の計算について
    • 計算の誤差について
      歴史上の事件の状況などを考えるための参考として、計算期間を西暦1590-2199年まで広げました。ただし、100年を越えるような過去・未来の日・月出没には、実際とは数分から十数分の差が生ずる可能性があります。その点を考慮し、常識的な用途にご使用下さい。
    • 1873年以前の日付に関する注意
       日本で、新暦(グレゴリオ暦)が施行されたのは1873年ですが、この計算で表示する日付は、それ以前であってもグレゴリオ暦の日付となっております。
      旧暦での状況が知りたい場合は、新暦と旧暦のページなどで、予め日付の変換を行ってからご利用下さい。
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計算に関する諸条件
日出没・月出没時刻計算に用いる数値の取り扱いについて説明します。
  1. 大気差
    大気差はラドーの標準大気差(理科年表の数値を使用)を使い、補間法によって必要な数値を得ている。ただし、視高度が 0度以下の場合は、大気差は 0度の値に固定している。
  2. 眼高差
    デフォルトは眼高 3mとして計算している(変更できる)。眼高差は、眼高 H (m)から
     眼高差(度) = 2.12 * SQRT(H) / 60
    として計算している。
  3. 地心視差
    日出没に関しては、地心視差は、
     地心視差(度) = 8.8 / 3600
    に固定している。月出没に関しては、月までの地心距離を計算して視差を得ている。
  4. 視半径
    日出没に関しては、太陽の視半径を
     太陽視半径(度) = 16.0 / 60
    に固定している(出没計算位置はデフォルトは「上辺」。他に「中心」「下辺」を選択可能)。
    月出没に関しては、月の視半径を
     月 視半径(度)= 月の地心視差(度) * 1738.092 / 6378.140
    を使用している(出没計算位置はデフォルトは「中心」。他に「上辺」「下辺」を選択可能)。
  5. 日出没時の太陽高度
    本来で有れば太陽の地心視差、視半径も地球と太陽の距離が変化する事から一定では無いが、計算結果に大きな影響を与えるほどの変動は無いことから、Javascriptという低速な処理系で効率よく計算することを優先し、定数として扱った。
    上記のことから日出没に関しては、デフォルト状態で有れば
    太陽中心位置が地平線下0.899度となる瞬間が日出没時刻となる。

      (-大気差-眼高差-視半径+地心視差)= -0.899度
  6. 月出没時の月高度
    月に関しては、出没計算は見かけの月中心が地平線に達する瞬間としている。また日出没に関しては変化が小さいために「定数」として扱った、視差、視半径はその都度計算している。
    デフォルトでの月出没の瞬間は、月中心位置が地平線下0.635度+地心視差となる瞬間が月出没時刻としている。

      (-大気差-眼高差+地心視差)= -0.635度
  7. 出没仰角を考えた場合の処理
    1. 大気差
      大気差は、仰角に応じた大気差を補正する。ただし、仰角が「-」の場合は、大気差は高度 0度の値を用いる。
    2. 眼高差
      仰角を考慮する場合は視点の高さは既に差し引かれているわけであるので、眼高差は 0と考える(仰角に含まれている)。
    3. 地心視差・視半径
      仰角が大きくなると地心視差の影響は小さくなるが、その影響は極わずかなため、これを考慮せず、通常の値を用いる。
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