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 【知音】 (ちいん)
 自分を良く理解してくれる人。親友・知己(ちき)のこと。
 出典は『列子』

 琴(竪琴)の名手、伯牙(はくが)には鐘子期(しょうしき)という友人が
 いました。伯牙が琴の名手ならこの鐘子期は聴くことの名手。
 伯牙が奏でる琴の音を聴くだけで、それを奏でる伯牙の考えや、細かな感情
 の動きまで読み取って誤ることが無かったと言います。

 伯牙は、この無二の聴き手である鐘子期を得たことを深く感謝したと言いま
 す。ところが残念なことにこの鐘子期が病を得て、やがて帰らぬ人となって
 しまいました。

 鐘子期の死の知らせを受けた伯牙は、これを弔う曲を奏でた後、愛用の琴の
 弦を絶ち、以後終生琴を手にすることが無かったと言います。

 自分の琴を真に理解してくれる最良の聴き手を得た伯牙にとって、その最良
 の聴き手、鐘子期を失った後に、琴を聴かせるべき相手を見つけることが出
 来なかったのでしょう。

 今でも挨拶の席上で、知り合いや友人を「知音」と紹介することがあります
 が、この故事からすると知音とは自分の全存在を理解してくれる人物と言う
 意味があり、あまり軽々しく使うべき言葉では無さそうです。

 伯牙が自ら琴の弦を絶って以後琴を奏でることがなかったと言うこの故事か
 らは知音の他に、

  「伯牙絶弦(はくがぜつげん)」または、「伯牙琴を破る」

 といった言葉が生まれました。
 こちらは自分を良く理解してくれた得難い人の死を悼む言葉です。


オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/01/21 号

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