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【秋津】(あきつ)
 (平安以後アキツとも)トンボの古名。秋の季語。
 古事記(下)「手腓たこむらに虻あむかく着き、その虻を秋津早咋はやぐひ」
   《広辞苑・第七版》

 トンボは蜻蛉と書きます。といってもいきなりトンボと言われて「蜻蛉」と
 書ける人は少ないと思います(少なくとも私は書けません)。
 書ける書けないはひとまず置くとして、蜻蛉と書いても「あきず」あるいは
 「あきつ」とも読むことがあります。

 秋津または、蜻蛉の文字に、「洲」あるいは「島」を付けると「あきつしま」
 となり、日本の古い呼び名となります。日本は秋津洲、トンボの国がその名
 になるほど、沢山のトンボがいたのですね。

 近頃は沢山のトンボを見るようになりました。秋という感じですね。
 何度も書いているように、現在私の住んでいる場所は海・山・川おまけに田
 圃もそろった日本の田舎そのものの風景が広がっています。
 お陰様で、「昔見た風景」を今もなおそこかしこに見ることが出来ます。

 秋津の虫と言われるトンボの姿も、秋になって増えてきました。
 今年はまだそこまで行きませんが、昨年の秋にはそれこそ空一面、どこまで
 もトンボで埋め尽くされるような日もありました。
 あんなに沢山のトンボはどこから現れて、そしてどこに消えて行くのでしょ
 うか。

 私の住んでいるこの場所では幸いに秋になれば沢山のトンボを見ることが出
 来ますが、都市部では群れなすトンボを見ることは少なくなりました。
 夕焼け小焼けの赤トンボとなじみの童謡に唱われた赤トンボが今では絶滅が
 危惧される生物となってしまったとか。

 このままトンボがいなくなってしまったら、秋津洲と言われた日本の名前も
 返上しなければならなくなってしまいます。
 ずっと先の子供たちにも、

  「日本は秋津洲、トンボの国なんだよ」

 と語ってあげられるようにしたいですね。


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