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【蟷螂の斧】(とうろうの おの) 自分の微弱な力量をかえりみずに強敵に反抗すること。 はかない抵抗のたとえ。 《広辞苑・第五版》 蟷螂(とうろう)はカマキリのことです。 昔、斉の荘公が狩りに向かう途中、荘公の乗る車の車輪の前に立ちふさがり、 その車輪に向かって今にも斧を振り下ろそうとしている小さな虫がいました。 荘公が御者にその虫の名を尋ねると御者は、 「カマキリ(蟷螂)です。 この虫は進むことのみを知って、退くことを知りません。 自分の力を知らずに、軽々しく大敵に向かって行きます。」 と説明しました。 これを聞いた荘公は 「ああ、この虫がもし人間であったなら、 きっと天下一の勇者となったことだろう」 と言って、その天下の勇者に道を譲るように、この虫を避けて車を進めさせ た(『韓詩外伝』)という故事があります。 荘公はその勇気を称えましたが多くの場合、カマキリのこの行動は無謀な行 いと考えられます。天下一の勇者になるためにはまず、生き残らないと。 さて我が家にも現在一匹のカマキリが住み着いているようです(まだまだ子 供のカマキリですが)。それで今日のコトノハはカマキリの話となりました。 このカマキリの前足は、日本ではカマキリというくらいで「鎌」に見立てて いますが、今日取り上げた中国の故事からすると中国では「斧」と見立てる ようです。斧ですか? 国によって見方が違いますね。 違うと言えばこの虫の英名は「mantis」。 このmantisの語源はギリシャ語の「預言者」を指す言葉だとか。 あの前足を上げた姿を祈りの姿と見たようです。 さて、我が家に住み着いているカマキリは前足を上げながら何を祈っている のでしょうか。今日一日の餌と今日一日の命かな? 明日もまた生き残って、祈る姿を見せてくれるといいのですが。
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