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【猫柳】(ねこやなぎ)
 カワヤナギの季節的な愛称。
 花穂の銀毛が猫を思わせるのでいう。春の季語。
  《広辞苑・第五版》

 いつもお世話になっている広辞苑には「カワヤナギの季節的な愛称」とあり
 ましたが、手持ちの何冊かの植物図鑑で調べてみると、ネコヤナギはネコヤ
 ナギのようです。ある図鑑ではわざわざ、

  「カワヤナギと呼ばれることもあるが、カワヤナギという別種があるので
   まぎらわしい」

 とまで書いていますから、違う種類のようです。
 植物の分類では猫柳はネコヤナギか、カワヤナギの異称かという問題はある
 でしょうが、私からすれば雪解けの頃、川べりで見かける銀白色の綿毛にお
 おわれた花(花序)をつけたヤナギはみんな猫柳です。

 猫柳の名前はやはりあの銀白色の綿毛をまとった花が猫と見立てたことから
 ついたものでしょう。ネコヤナギの異称の一つにはエノコロヤナギというも
 のがあるそうですが、こちらはこの綿毛の花を犬と見立てたものです。

  エノコロ = 犬子、犬児、狗児

 どちらもあの花がふさふさの和毛(にこげ)を連想させることから付いた名
 前なのですね。その和毛が猫か、犬かの違いだけです。
 ただ、この和毛の主が狼や熊や狸や狐ではなく、古くから人間と暮らしてい
 た猫や犬とされた辺りは、この猫柳がそれだけ身近に感じられる植物だった
 ことをうかがわせます。

 まだ雪がそこここに残る川岸から、銀白色の花をいっぱいつけた枝を水面に
 差し掛けるように伸ばす猫柳を目にすると、春が来たなとしみじみと実感し
 ます。

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