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【一粒万倍】(いちりゅう まんばい)
 [報恩経 4「世間求利、莫先耕田者、種一万倍」]
 1. 1粒の種子もまけば万倍の粒となるの意で、少しのものもふえて多くの数
  になるたとえ。少しだとて粗末にはできぬの意にもなる。
 2.稲の異称。〈日葡〉
   《広辞苑・第五版》

 暦の暦注の一つに「一粒万倍日」というものがあります。その日行ったこと
 は万倍の結果となって返ってくる日とされ、商売を始める場合などにはよい
 日だと考えられるようです。
 ただし、「結果が万倍になって返ってくる」ということは、借金などしたら
 これは大変だと言う日でもあります。

 (暦注としての一粒万倍日の意味は、暦のこぼれ話のバックナンバーでお確
  かめ下さい → http://koyomi8.com/doc/mlwa/200703090.htm )

 さてこの記事を書いているのは2009/9/3。前日の 9/2は七十二候の四十二候、
 「禾実る」でした。

 禾(のぎ)は芒とも書き、稲の籾などに見られる針のような突起のことを示
 す言葉です。禾実るとは、稲が実る時期を表す言葉と考えることが出来ます。
 一粒の種子がやがて万倍の収穫となるという意味の「一粒万倍」はこの禾の
 ある稲の異称だと広辞苑の説明 2にあります。今はちょうど一粒万倍の異称
 を持つ稲が万倍となって返ってくる時期なのです。

 現在私の住んでいる紀伊半島の南部は暖流である黒潮の洗う地域で、温暖な
 気候。そのため、稲の実る時期は他の地域より早く、八月も半ばになると稲
 刈りが始まりますが、ここはやや例外的な地域のようで、稲刈りはこれから
 という地方、地域が多いと思います。

 春から八十八の手間を掛けて育ててきた稲が万倍の収穫となってその手間に
 報いてくれる秋が間もなく訪れようとしています。

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