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【サクラサク】
 受験の合格を知らせる合格電報によく使われる言葉。
 合格の「サクラサク」に対して、不合格の場合は「サクラチル」が使われる。

 本日3/27は、「さくらの日」。
 またこの日の前後に七十二候の「桜始めて咲く」もやって来ます(今年2010
 年の場合は3/26でした)。
 東京でも桜が咲いたという報せも届く頃ですし、本日は「サクラ」にまつわ
 る言葉を採り上げてみました。

 「サクラサク」は合格を知らせる電報の代表的な文言。
 この合格電報とは元々は大学生サークルのアルバイトとして始められたもの
 だそうです(『スープのさめない距離』 道浦俊彦著より)。

 1957(昭和32)年の朝日新聞には、早稲田大学の入試の際に新宿電報局が出
 張して合格電報(合否電報?)の受付をしたことが記事になっているそうで
 す。既に書いたとおり元々は学生たちの「私設電報局」がこの合格電報を打
 っていたわけですが、誤報なども多かったことから、大学側と電電公社(当
 時、現 NTT)が話し合って設置を決めたものだとか。
 これを見ると学生による合格電報の始まりはこの年より更に前ということに
 なりますから合格電報は1950年代前半には既にあったようです。

 なお、この1957年の新聞に採り上げられた電報局の出張サービスが用いた合
 否を表す言葉は

 「オメデトウ」と「ザンネン」

 だったそうです。意味は分かりますが、ちょっと身も蓋もない表現ですね。

 前述の『スープのさめない距離』によれば同時代の東京大学の不合格電文は
 一次試験は「ウメノハナチル」で、二次試験は「サクラチル」だったとか。
 とすると、「サクラサク」の発祥は東京大学の合格電文だったのか?
 この辺りはつまびらかではありません(ご存じの方、いらっしゃれば教えて
 ください)。

 ウメと云い、サクラと云い、合格発表の時期と受験生の心情を汲んだなかな
 か良い表現。きっと受け取った人達にも好評だったのか、この時期に片仮名
 で「サクラサク」と書けば、合格を表す言葉だと分かるほど広くこの言葉が
 普及しました。

 「サクラサク」以外にも、季節やその大学に因んだ合否電報の名言が幾つも
 あります。一例を示せば

  「オチャ カオル」・「コノメドキ マテ」(お茶の水女子大)
  「トラ トラ トラ」・「チンボツ」(東京商船大)
  「コマクサノハナ ヒラク」・「シナノジハ ユキフカシ」(信州大)
  「ダイブツヨロコブ」・「ダイブツノ メニ ナミダ」(奈良教育大)
  「クジラ ツレタ」・「リョウマノ メニ ナミダ」(高知大)

 などなど。
 現在は、メールやインターネットですぐに合否が知らされる時代となり、合
 格電報も過去の物となってしまいましたが、この季節に

  「サクラサク」・「サクラチル」

 の文字を見れば、過ぎし青春の時代を思い出す方も多いのでは?

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