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【雨の手数】(あめの てかず)
 (雨の「脚」に対して「手」といい、繁く降るのを「手数」という)
  雨のひどく降ること。為忠集「降りそむる雨の手数にあふ花の」
   《広辞苑・第五版》

 秋も半ばになると、数日、雨が降り続くことがあります。
 秋の長雨、秋霖(しゅうりん)などと呼ばれるのがこの雨。
 秋半ばともなれば、暑い暑いと云われた今年でさえも、流石に暑さは姿を消
 して、降る雨は冷たい雨です。
 シャツの長い袖をの中にもその冷たさがしみ込んでくるようです。

 雨に脚で雨脚という言葉は比較的よく耳にする言葉ですが、本日採り上げた
 言葉は脚ではなくて手、雨の手数です。脚があれば手もあったのですね。

 手数をかけると云えば、骨を折ること、面倒を見ることという意味がありま
 す。庭の花の世話をすると云うとき、私は如雨露(じょうろ)で水をやる人
 の姿が浮かびます。それと同じで雨は見えない手によって一面にかけられる
 天の如雨露の水なのかもしれません。

 草木を育てるために手数をかける目に見えない何かがあって、その何かが如
 雨露でまいた水が雨ならば、「まだちょっと足りないかな?」と、私たちが
 ついつい余分に水をやってしまうように、その何かがちょっと余分にまき続
 けたものが長雨でしょうか。

 冷たくて、何となく鬱陶しい秋の長雨ですが、これもついつい余分に水をま
 いてしまう「何か」が降らせる雨なのかと思うと、ただ冷たくて厭わしいも
 のだとは思えなくなります。
 雨の手数は、それだけ草木を心配している何かの思いを表すものなのかもし
 れません。

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