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【鯖をよむ】 (さばを よむ)
 (鯖を数えるのに、急いで数をよみ、その際、数をごまかすことが多いとこ
 ろからという)得をしようと数をごまかす。
  《広辞苑・第六版》

 青い海に魚が群れなし泳ぐように、秋の空にも魚たちが群れなし泳ぎます。
 鯖雲しかり、鰯雲しかり。
 あんなに群れなして泳がれては、いったい何匹の魚がいるかなんて、とても
 数え切れません。
 少しくらい鯖を読まれたところで、わかりはしない。

 広辞苑の解説に、「急いで数を読み」とあるのは、鯖が傷みやすい魚である
 からとのこと。
 急いでとばし数えるため、数えた数と実数とが合わないのだそうです。

 そういう理由で数えた数が実数にあわないのは仕方がないとして、そのあわ
 ない方向が往々にして「得する方向」に一致するということを考えると、本
 当は急いで数えても、本当はきちんと数は数えているのかも?

 他にも、串鯖(鯖を背開きして塩漬けにしたもの)は、一串に二尾ずつ刺し
 連ねて、一刺と数えたことからという説もあります(成語林)。

 「鯖をよむ」は、沢山の人や物の数などを、自分の都合のよいように数える
 場合に使われます。
 集会に集まった人の数など、主催者発表と警察発表の数が一致したためしは
 まずありませんが、これはどちらか(両方?)が鯖をよんでいるからでしょ
 うね。

 ちなみに、近頃よまれる「鯖」の対象は人や物の数ばかりではありません。
 案外多いのが年齢。

 若い(若すぎる?)場合は多めに。十分な年齢がある場合(・・・)は少な
 めにということが多いようです。どちらも自分の得になる方に鯖をよむのだ
 と考えると、一番得な年齢というのはその間のどこか。
 いくつくらいが一番得な年齢なんだろう・・・などと考えながら、秋の空を
 泳ぐ鯖雲の数でも数えてみましょうか。

 海の鯖と同様に秋の雲の足もはやい。
 急いで数えないと数が変わってしまいます。
 でも、雲の数が多くても少なくても「得になる」ということはありませんか
 ら、急いで数えても「鯖をよむ」必要はありませんが。

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