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【天泣】(てんきゅう)
 雲が全く見えないのに、雨または雪の降る現象。
   《広辞苑・第六版》

 あ、雨・・・

 顔に水の滴を感じて空を見上げると、顔に感じた滴を降らせたはずの雲が何
 処にも見えません。
 気のせいかいぶかりながら、もう一度空に向けた目を凝らすと、青い空に時
 折、陽光にきらめくものがあることに気がつきました。
 気のせいではなかったようです。

 どうやら、「天泣」と呼ばれるもののようです。
 気がつかないくらいの薄い雲が降らせた雨とも、どこか遠くの雲が降らせた
 雨が、風に流され、蒸発しながらようやく地上にたどり着いた雨だともいわ
 れています。
 冬の時期なら、雨ではなく雪となります。雲一つない青空にキラキラとかが
 やく雪が見えるときがあります。

 天気雨といってもよいのかもしれませんが、天気雨の場合は、その雨を降ら
 せた雲のひとかけらくらいは見えているような気がしますから、ちょっと違
 ったもののように私には感じられます。間違っているかもしれませんが。

 見えない雲が降らせた雨なのか、遠い雲が降らせた雨が、長く旅して地上に
 たどり着いたものなのか、それとも本当に天が泣いているものなのか。
 私の顔までおりてきた滴の元はどれだったのでしょう。

 もし、本当に天が泣くのだとしたら、天はなぜ泣いたのかな?
 悲しいから、嬉しいから、それとも悔しいから?

 「誰にだって泣きたいときはあるよね」

 そう思ったら、私の顔に落ちてきた滴の元を、それ以上詮索する気は無くな
 りました。
 夏の初めのよく晴れた、暑い日の出来事でした。

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