日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■暦注の話 ・・・ 十方暮(じっぽうぐれ)
本日の主な暦注に「十方暮始まり」とありました。多くの暦注はその日一日
だけと言うことが多いのですが、この十方暮は十日間続くので毎日
今日は十方暮(の○日目)
なんて書いていると大変なので、その始まりの日だけに「始まり」と書いて
おります。
◇十方暮とは
江戸時代の百科事典的書物、和漢三才図会(わかんさんさいずえ 寺島良安
著・正徳 2年(1712)刊)によれば、本来は
十方闇(じっぽうぐれ)
と書くのだとのこと。日の六十干支による撰日法(せんじつほう)の暦注で
す。
◇十方暮の撰日法
十方暮は日の六十干支の十干と十二支(天干地支)の五行配当が相剋(そう
こく)、つまり相性が良くない日が連続する十日間(うち二日は相剋になら
ないので間日となる)を十方暮としています。干支の五行配当については、
干支の話( http://koyomi8.com/cgi/magu/index.php?date=20061118 (2006
/11/18〜11/22)のこぼれ話)に書いておりますので思い出してくださいね。
ではどんな風に並ぶのかというと
甲申(木金) 乙酉(木金) 丙戌(※火土) 丁亥(火水)
戊子(土水) 己丑(※土土) 庚寅(金木) 辛卯(金木)
壬辰(水土) 癸巳(水火)
となります。今日はその最初の「甲申」でした。ちなみに間日は※印をつけ
た丙戌と己丑の二日です。
このように日の天干地支の関係が相剋となるので、天地の和合が崩れ、何を
やっても上手く行かない日と考えられました。
そのため、婚姻・旅行・相談事等一切よろしくない日と言われました。
六十干支中の十日(間日を除けば八日)ですから、日の1/6 は十方暮の期間
ということになりますから、結構な日数ですね。信じる人は大変です。
◇十方暮の語源
四方八方十方が闇に閉ざされるような日々ということで「十方闇」となった
のだと言います。一説にはこんなに悪い日が続くのでみんな「途方に暮れる」
ので
途方(十方)に暮れる
と語呂合わせしたことに始まるとも言います。案外こんなところなのでしょ
うか。
十方暮の説明を読んでいると随分特別な期間なのかなと思われる方もいらっ
しゃるでしょうが、六十干支の並びをつらつら眺めてみると十方暮以外の期
間にだってこうした天干地支の相性の悪い日は有ります。恣意的といえば恣
意的。まあ暦注なんてそんなものですが。
まあ、こんなことを書いておいて言うのも何ですが、気にしなければ気にな
らない(気にするから気になる)。
気にしないことにしませんか?
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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