日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■冬土用 (1/17)
土用というと夏ばかりと思われていますが、どっこい、土用は四季全てにあ
ります。そして本日が冬の土用です。
◇土用とは
土用は土旺用事(どおうようじ)の略。
土用の「土」は五行説の土。
暦関係の話にはしばしば登場するあの五行説です。
五行説では何でも五つに分ける必要があります。
季節にも五行を割り当てられたのですがここで一つ問題が発生。それは季節
はが四季であって五季でないこと。
そこで登場するのがこの土用です。
一年は 365日。これを四季に分けると、一つの季節は約91日になります。
そしてこの91日が季節の一つの長さとなります。
一方これを五季に分けたとすると一つの季節は約73日となります。この数は
前出の91日と18日差。この余った18日を土用とすると、土用が年に 4回出来
て 18日 × 4回 = 72日 で他の季節と同じ日数になります。18日が 4回とし
ましたが、本当は18〜19日であって、合計日数は73日。73日 × 5季 =365日
です。
こうして普通に考えれば四季で有るものを五行の都合で五季(という言葉は
使いませんが)とした「+1季」が土用です。この結果、
春:木 、 夏:火 、 秋:金 、 冬:水 、 土用:土
季節に五行が配当されたわけです。
◇土用の日付はどうやって決める?
土用の日付は、昔は暦の四立(立春、立夏、立秋、立冬)の前18日間と決め
られていました。これだと土用の日数合計は72日となります。
現在はと言うと、日数ではなく太陽の位置(黄経)で決めており、
春:27° 、 夏:117° 、 秋:207° 、 冬:297°
という位置を太陽の中心が通過する日が「土用の入り」となります。この角
度で決めるようになると、土用の期間は18〜19日。合計日数は73日と言う具
合に決定されています。
◇土用の役割
五行説によれば、土には死と誕生を司る力があると考えられました。
・死:生き物が死ねば ⇒ 土に還る
・生:植物の生育は ⇒ 土から芽を出す
ということから「土」に死と誕生を司る力があると考えたのでしょう。
このことから、それぞれの季節と季節の間に土用を挿入することで、
古い季節が死ぬ ⇒ 土用 ⇒ 新しい季節が生まれる
という季節の交代を円滑に行う効果が有るという説明をします。
少々こじつけという気もしますが、まあ解らないでもない考えですね。
◇冬から春へ
と言うことで、この冬土用は冬の終わりと春の始まりという季節の交代が行
われる時期と言うことです。
今頃土の下でも、
「ぼちぼち芽を出す準備する?」
なんて話し合っている草の種、木の実がいるのかもしれませんね。
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