こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■みみず出ずる (七十二候の一)
 「蚯蚓出」で「みみず出ずる」。そのまま「キュウインイズ」と読んでもい
 いのですが、キュウインでは「吸引?」なんて誤解を生みそうですので、

  蚯蚓 = みみず

 ですから素直にみみず出ずるとしております。
 「みみず出ずる」は二十四節気をさらに三分に細分化した七十二候の20番目。
 立夏の次候です。

 ちなみに、二十四節気の一つの節気に七十二候は3つありますが、その最初
 を初候、次を次候、最後を末候と呼びます。
 「立夏の次候」というのはこの方式での読み方です。


◇七十二候
 もともとの七十二候はご多分に漏れず中国からの伝来ものでした。この点で
 は二十四節気などと同じです。二十四節気は中国伝来のものがそのまま使わ
 れ続けていますが、七十二候は、大分日本風に改良(?)されています。

 中国伝来当時の七十二候には、田圃のねずみがウズラに変わったり、草が蛍
 に変わったりと、なかなかすごい話もあって楽しいのですが、そのまま使い
 続けるにはあまりにおかしいということで変えていったのでしょう。そうし
 た変更と同時に、日本の風物に合わせる変化も行われたと考えられます。


◇「みみず出ずる」は由緒正しい言葉?
 七十二候は変化してきていますとさんざん書いておいて今更申し訳ないので
 すが、本日の「蚯蚓出」はこうした日本的な修正の波をもくぐり抜けて生き
 続けた中国伝来そのものの七十二候の言葉です。

 中国から伝来したときから、ずっと「蚯蚓出」。
 冒頭に書いたとおり流石に、「キュウインイズ」では意味が分からないので、
 読みだけは、「みみずいずる」としておりますが。


 七十二候は季節を表す楽しい言葉が並んでいますので、俳句の季語として使
 われることもありますし、手紙の書き出しに使うこともありますが、蚯蚓
 (みみず)出ずを使ってはてさて、どんな手紙を書き出しましょうか?

 手紙の書き出しで悩んでいる頃、朝の光を浴びた庭の土の中では蚯蚓君が、
 ごそごそと活動を開始していることでしょう。


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