日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■土用の三つ星様
夏の土用の頃、太陽の昇る直前の薄明の東の空に三つ並んだ星が昇ってくる
のが見えます。
時刻で言えば、午前 3時30分〜午前 4時30分頃。
この三つ星のことを、「土用の三つ星様」と呼ぶ地方が有ります。
明け方の空にこの星が昇る頃、夏の土用がやってくると季節変化の目安とし
ていたのです。
「土用の三つ星様は、
土用一郎に一つ目が、二郎に二つ目が、三郎に三つ目が現れる」
なんて言ったそうです。
ここで言う一郎、二郎、三郎は一日目、二日目、三日目という意味です。
実際には、それほど極端に変化するわけではありませんが、まあここは覚え
やすい語呂合わせとでも思えばよいでしょう。
◇三つ星様の正体
この土用の三つ星様の正体ですが、この三つ星は皆さんにも大分なじみのあ
る星で、普通は「冬の星」として知られている星です。
オリオン座の三つ星といえば、ああ、あれかと皆さんも思い出してくれるこ
とでしょう。
普通は冬の星座と言われるオリオン座ですが、漁業者など夜明け前から活動
を始める人たちにとってはオリオン座は夏の早朝に昇る星座と言うことで、
夏の星座だと考えられていることが多いのです。
土用一郎に見えると言う一つ目は「ミンタカ(Mintaka)」、
二つ目は「アルニラム(Alnilam)」、三つ目は「アルニタク(Alnitak)」
という星で、1.7〜2.3等星。
日の出のやく1時間ほど前から姿を現します。
オリオンの三つ星はちょうど天の赤道辺りに並んでいますので、ちょうど真
東から地平線に対して垂直に三つ並んで昇ってくる姿が見えますので、なか
なか印象的な登場と言えます。
ちなみに昇ってくるときのオリオン座は、水平線に対して真横になった寝姿
での登場。オリオンも朝はまだ眠いのでしょうか?
◇真横にも壮大な三つ星?
今年の土用の時期には今回の話の三つ星様とは別に、日の出前に地平線に対
して水平に並んだ三つ星様よりずっと明るい三つ星を見ることが出来ます。
一番南側は、オリオン座のリゲル(Rigel)、真ん中が同じくオリオン座の
ベテルギウス(Betelgeuse)、一番北側は惑星の水星。何れも 0等級の大変
明るい星。これだけ明るい星が三つならばれては、本家の三つ星様も霞んで
しまいそうですが、水星が参加しての明るい三つ星勢揃いは、今年たまたま
起こったことなので、来年からはまた土曜の朝は三つ星様が主役に戻ります。
今年は運の良く、明るい三つ星様と本当の三つ星様が夜明けの1時間ほど前
に東の地平線上に姿を現すはず。
ちょうどいい機会ですから、早起きしたときには東の空に目を向けてみてく
ださい。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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