こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■二十八宿と二十七宿が同じ?
 『今日の日干支と主な暦注』をよくご覧の方は、最近二十八宿(にじゅうは
 っしゅく)と二十七宿(にじゅうしちしゅく)が同じになっていることに気
 づいていると思います。
 この部分をあまり見ないという方のために本日のその部分を抜き出してみる
 とこんな具合です。

   二十八宿 婁   [ろう] 大吉.婚礼,造作大吉
   二十七宿 婁   [ろう] 大吉.婚礼,造作大吉

 いかがですか?
 いわれてみれば確かにそうだと思ってくださった方もいらっしゃいますね。
 二十八宿と二十七宿がまたく同じになっているということで、

  「あれ、間違ってる」

 と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、間違いではありません。
 また、こんな偶然は今日だけかというと、これも違います。昨日も一昨日も
 同じになっています。
 気になる方はこの、日刊☆こよみのページのバックナンバーをたどってみて
 ください。しばらく前から同じになっているはずです。

 ずっとさかのぼって確かめて頂くのは大変なのでいつから同じ並びになった
 かと申しますとこれは7/28。この日、二十八宿も二十七宿も「女」となって
 います。

 ついでにもう一日遡って7/27を見ると、二十八宿は「牛」で二十七宿は「斗」。
 違っています。


◇二十八宿と二十七宿の関係
 二十八宿と二十七宿、名前からしてよく似たこの二つは元はといえば同じも
 のです。生まれたところは古代中国。
 本来は月がどの星座にあるかを知ることで季節の動きを知るという天文学的、
 暦学的な意味のあるものだったのです。

 この中国生まれの二十八宿がインドに渡り、一部改変されたものが二十七宿。
 元は天文学だった二十八宿ですが、このインド旅行の間に占いの要素をたっ
 ぷり身につけ、そしてインドから中国に逆輸入されました。
 なお、このインド旅行の途中に「牛」がどこかに行ってしまって、二十八宿
 が二十七宿になりました。

 今ではすっかり天文学的・暦学的な意味は失ってしまってもっぱら占いだけ
 に用いられるものにになって(「成り下がって」と私としては言いたい)し
 まっています。

 二十八宿と二十七宿の本来の意味についてはまたいずれ書くとして、本日は
 占いとしての二十八宿、二十七宿の一致について考えてみます。


◇それぞれの撰日(せんじつ)法
 ある日の暦注をどうやって計算するかという方法をその暦注の撰日法と言い
 ます。撰日法の主な系統には暦月切り、節月切り、不断というものがあって、
 ほとんどの暦注はこの何れかの方法によって求められています。

 本日の話題の二十八宿は「不断」、二十七宿は「暦月切り」という撰日法に
 属しています。
 不断とか暦月切りというと難しそうな響きですが、内容はというとこれは簡
 単。不断は一定の周期でぐるぐると回り続けて、その周期が全く変化しない
 もの。暦月切りは、暦の上の一月ごと(この場合の「月」は旧暦の月)に並
 び方が決まっています。

◇二十八宿と二十七宿が同じになる期間は?
 撰日法は違うのですが、元は同じものなので、並んでいる順番は同じですか
 ら、どこかで同じ日にで二つの「宿」が一致することがあると、そこから先
 はほぼ一月にわたって同じになってしまうことがあります。
 この一致する期間というのは、二十八宿にはあって二十七宿にはない「牛」
 の部分でだいたい区切れます。

 今回の一致期間を見ると、7/28〜8/23の間。一致の始まりは「女宿」で、終
 わりは「斗宿」となっています。
 斗宿と女宿の間は「牛宿」なので、まさに「牛」で区切れると云った通りで
 す。ということで、8/23までの間はずっと同じ並びです。なんだか損した感
 じですが、勝手にどうこうできるものではないのでご勘弁願います。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック