日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■虹隠れて見えず・2007
本日は勤労感謝の日。
話題的にはこちらの方がメジャーかと思いますが、メジャーなだけに新聞や
テレビでも沢山取り扱われると思いますので、本日の日刊☆こよみのページ
では、こよみのページらしいマイナーな話題として、「虹隠れて見えず」を
取り上げてみます。
◇虹蔵不見
虹蔵不見は、「虹蔵(かくれ)て見えず」と読みます。中国から伝来した時
の七十二候そのままの書き方ではこうなります。
こよみのページではわかりやすい文字で、「虹隠れて見えず」としておりま
す。
この言葉は七十二候の一つで、小雪の初候となっています。
この言葉と対をなすものに、「虹始めて見る」があります。こちらは清明の
末候(4/15〜)があります。
七十二候の生まれた中国の黄河中流域の気候とは若干のずれはあるものの、
まあ虹の見える期間としては4/15〜11/23は妥当なところでしょうか。
これから寒くて雨の降ることの少ない時期に入ります(降るとしたら雪?)。
◇「虹」は生き物?
虹は虫偏の言葉。なぜ虹が「虫偏」なのかといえば、昔虹は理由の仲間だと
考えられていたこと。その竜が蜥蜴(とかげ)の仲間だ(本当は、竜の一種
が蜥蜴と考えられたのだと思います)から。
まだ「爬虫類」なんていう概念がなかった時代ですから、動物であって、獣
で無いものはみんな虫でひとくくりにされてしまった。つまり、
蜥蜴(虫の一種) → 竜 → 虹
という連想の結果、虹は虫の仲間になってしまったのでした。
◇虹の雄雌
虹という文字を漢和辞典で引きますと、
【虹】
紫が内側で、色が鮮やかなのを虹、紫が外側で色が淡いのを霓(げい)
という。 《学研大漢和辞典より抜粋》
何ていう記述があります。ここで登場した見慣れない「霓(げい)」の文字
は何かというと、雌の虹なのです。つまり虹には雄雌があったわけです。
この「げい」は「虫+兒」とも書くのですが、文字フォントが見つかりませ
んでした。
時折くっきりと虹が見えるようなときにその外側に更にもう一つの虹がうっ
すらと見えることがあります。昔の人はこのうっすらとした外側の虹が、霓
だと考えたようです。
両方併せて虹霓何ていう言葉もありますが、表す意味はといえば虹のこと。
まあ、中国よりは少し暖かで雨の多い日本では、まだ時雨れるときがありま
すから、雄雌仲良く並んだ虹の姿をこれからも見ることがあるかもしれませ
んね。
虹を見かけたら、今日のこぼれ話を思い出して、二匹の竜が空を渡る様を想
像してみてくださいね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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