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■4月1日生まれは早生まれ?
 本日は 4/2。
 小学校入学のおりなど、「早生まれ」という言葉を耳にする事があります。
 早生まれがあれば、「遅生まれ」があってもよさそうですが、こうした言葉
 はまずありませんから、「遅生まれ」が普通であって、敢えていう必要もな
 く、ちょっと特殊な例の「早生まれ」を指す言葉だけが使われるのでしょう。

 辞書を引くと、
 【早生れ】(はや うまれ)
  (小学校入学の年が、4月1日以前と2日以後で区切られることから) その年
  の1月1日から4月1日までの間に生れること。また、その人。
  対義語 遅生れ
   《広辞苑・第五版》

 とあります。おっと、やはり遅生まれという言葉もあるようですね。
 この(平成20年の)四月に小学校に入学する子供を例にとって考えれば、

  1.平成13年 4月 2日〜平成13年12月31日生まれ
  2.平成14年 1月 1日〜平成14年 4月 1日生まれ

 までがこれに該当し、目出度く「同級生」と相成るわけです。
 この例の1が遅生まれ、2が早生まれですね。
 暦年(1/1〜12/31) と学校年度(4/1〜翌年3/31)のずれによってこうした
 遅生まれ・早生まれが出来るわけです。それはいいとして、遅生まれと早生
 まれの区切りは3/31と4/1の間ではなく、4/1と4/2の間にあるのはなぜでし
 ょうか?

 それを解く鍵は、学校教育法と年齢計算二関スル法律という二つの法律にあ
 ります。

◇学校教育法(関連条文のみ)
 第22条
  保護者(中略)は、子女の満 6才に達した日の翌日以後における最初の学
  年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学
  校(中略)に就学させる義務を負う。(後略)

 なお、学年とは4/1〜翌年3/31までの学校年度のことです。

◇年齢計算二関スル法律(関連条文のみ)
 (1)年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
 (2)民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス

・民法143条 (暦による計算)
 (1)期間ヲ定ムルニ週,月又ハ年ヲ以テシタルトキハ暦ニ従ヒテ之ヲ計算ス
 (2)週,月又ハ年ノ始ヨリ期間ヲ起算セサルトキハ其期間ハ最後ノ週,月又
   ハ年ニ於テ其起算日ニ応当スル日ノ前日ヲ以テ満了ス但月又ハ年ヲ以テ
   期間ヲ定メタル場合ニ於テ最後ノ月ニ応当日ナキトキハ其月ノ末日ヲ以
   テ満了日トス

◇まとめると
 法律はなかなか読みにくいです。ことに、年齢計算ニ関スル法律も民法も明
 治時代に作られたものなのでますます読みにくいです。
 読みにくい法律を一所懸命読んで考えると

 ・満年齢の 1年とは ・・・ 誕生日と翌年の誕生日の前日で満了

 この満了の日が誕生日そのものではなくて、その前日というのが味噌です。
 平成14年4月1日生まれの人が 6歳に達した日はいつかといえば、満年齢の 1
 年が誕生日の前日で満了するわけですから、平成20年の 3月31日となります。
 誕生日がこの一日後の4月2日であれば、満 6歳となる日は、平成20年4月1日
 となります。
 学校教育法によれば小学校へ入学する学年(学校年度)は、

 ・子女の満 6才に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから

 となっています。ここでの味噌は、小学校に入学する学年が、満 6才に達し
 た「翌日以後における最初の学年」となっていることです。満 6才に達した
 当日の学年ではないのです。
 つまり、

 ・平成14年4月1日生まれの入学学年は
   → 平成20年3月31日の翌日以降に始まる学年
    → 平成20年4月1日から始まる学年

 一日後に生まれると
 ・平成14年4月2日生まれの入学学年は
   → 平成20年4月 1日の翌日以降に始まる学年
    → 平成21年4月1日から始まる学年

 と4/1と4/2生まれの間で学年が違ってきます。
 こういうわけでなんだか不思議な

  4月1日生まれは早生まれ

 という現象が生まれるのでした。
 本日4/2 はしてみると、「最も早い遅生まれの人の誕生日」なんですね。


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