日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■防火には「亥の月亥の日」がおすすめ 今日は旧暦の十月(十月二十二日)です。 十月は亥の月。そして今日の日の干支は「亥」。つまり亥の月亥の日と言う ことになります。 昔から、亥の月亥の日は暖房器具の使い始めの日とされていました。炬燵を 出す日だったり、炉を開く日だったりします。 もっとも、今日は十月二十二日(旧暦)なので、亥の月でも二回目の亥の日、 二の亥です。 と言うことは、もう十二日前に、 本日は亥の月亥の日、暖房器具の使い始めの日です と書くべき所でしたが、間抜けなことにそのチャンスを見逃してしまいまし た。そして今日が二度目のチャンス。そして今年最後のチャンス。ここで書 いておかないと次に各チャンスは来年ですから、今日はこうして無理矢理 「暖房器具使い始めの日」の話を書いています。 ◇なぜ亥の月亥の日なのか? 「亥の月」は十月。 旧暦の十月は冬の初めの月ですから、季節から考えると暖房器具を使い始め るには相応しい季節ですが、ではなぜ「亥の日」なんでしょうか。 寒くなれば「火」が欲しいと言うように、暖房器具と言えば当然「火」がつ きものです。 火は暖かく、また明るく、食べ物の煮炊きにも使えれば照明にもなり、寒い 冬には暖房として使えます。大変ありがたいものです。 ただその反面、危険もあります。火事です。 火事は「地震、雷、火事、親父」と最も怖ろしいもの一つとして数えられて います。 火はありがたい存在だけれど、恐いものでもあります。 その勢いが制御出来ないほど強くなっては大変です。 そうならないために、この火を制御するものが必要です。 それが「亥」なのでした。 十二支における「亥」は、五行説では「水気」、陰陽説では「陰気」。 水は火に打ち克つ力であり、陰気は猛々しさの無い穏やかな力。 「亥」には火の力を穏やかに押さえ、制御する働きがあり、そのため亥の日 や、猪(=亥)には火事除け、火塞ぎの霊力があると考えられるようになり ました。 冬の初めの旧暦十月、亥の月は暖房器具を出すには頃合いの季節。 そして「亥」には火事を避ける力があると考えられましたから、火を使う暖 房器具を「亥の月亥の日」に使い始めると火災の心配が要らないと、この日 を暖房器具の使い始めの日と昔の人たちは考え、この日に囲炉裏や掘り炬燵 を開いたのでした。 初めての亥の日ではないのですが、江戸時代は武家は一の亥の日に火を使い 始め、町人は武家をはばかって二の亥の日に火を使い始めたといいますから、 おかしくはないかもしれませんね(少なくとも「武家」ではない私は)。 もっとも近頃はだいぶ寒くなってきましたから、亥の日なんかとは関係なく 暖房器具を使い始めているかもしれませんね。 かく言う寒がりの私は、一の亥の日の遙か前からご厄介になっています。 火事の恐怖も、冬の寒さの前には霞んでしまうのでした。
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