日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■バカヤロー
マイク禍というものがあるとすれば、最近では食品の産地偽装などで糾弾さ
れた料亭、船場吉兆の謝罪会見が記憶に新しい(2008年のこと)。
謝罪の言葉を述べる息子に
「頭が真っ白になって・・・」
と小声で、言うべき言葉(?)を伝えていた女将の声をマイクが拾っていた
という事件がありました。
何でもあの事件の後、会見に用いられたマイクは、その高性能ぶりが認めら
れて、注文が殺到したとか。確かに本人はヒソヒソ声でこっそりと伝えたつ
もりの言葉を、大変明瞭にマイクが拾っていました。
◇元祖マイク禍
さて、近頃のマイク禍の話を書いたところですが、本日はマイク禍の元祖と
も言えそうな事件が起こった日です。
それが起こったのは、昭和28(1953)年 2月28日。
ところは、衆議院予算委員会。
発言者は吉田茂総理(当時)です。
今日の記念日にも取り上げている「バカヤローの日」がそれ。
吉田茂首相が社会党の西村栄一議員との質疑応答の中で、西村議員に対して
「バカヤロー」と暴言を吐いたことがきっかけとなって衆議院が解散される
に至ったため、この解散は以後、
バカヤロー解散
として日本の歴史に名を残しました。
「バカヤロー解散」なんていうと、なんだか大声で「バカヤロー」と叫んだ
かのような錯覚をしてしまいますが、事実はさにあらず。
西村議員との質疑がつづき、その答弁後に吉田首相が自席に戻ろうとしたと
きに「バカヤロー」と呟いただけです。
この「バカヤロー」の呟きをたまたまマイクが拾ってしまったため、これが
議会軽視の発言とされて懲罰動議が出され、やがて内閣不信任決議案が提出
されるまでの騒動となりました。この内閣不信任決議案は可決され、この結
果を受けて、吉田首相は衆議院を解散することになりました。
◇口は禍の元
口は禍の元と言います。
吉田首相も、腹立ち紛れで呟いた「バカヤロー」の一言が禍の元となってし
まいました。
口は禍の元といえば、吉田茂首相の孫に当たる麻生首相もその口からいろい
ろな禍を招いているようです。
口から禍を招きやすい御血筋なのでしょうか?
だたし、御血筋は間違いないとしても初代と三代目ではスケールは大分違っ
ているようですが。
ちなみに、本日「バカヤローの日」は普段腹の立っていることに対して
バカヤロー
と叫んでもよい日だとされています。吉田首相やお孫さんの麻生首相にはい
ろいろと「バカヤロー」と叫びたいことがあるでしょうね。
まあ一国の総理大臣なんていう立場でなくとも「バカヤロー」と言いたいこ
との一つや二つはあるでしょうから、思いきってそんな事柄に対して
バカヤロー
と叫んでみませんか?
叫んでみるとすっきりしていいかも知れませんよ。
ただし、この「バカヤロー」が新たな禍の元になったとしても、私には責任
はとれません。悪しからず。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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