日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■1メートル
本日はメートル条約締結を記念した世界計量記念日と言うことで、1メート
ルの話です。
昔々は、それぞれの国によって長さや重さの単位はまちまちでした。今でも
その影響は色濃く残っていて、日本でも建物のサイズや土地の広さなどには
今も尺貫法の単位が顔を出しますし、ゴルフやフットボールなどでは距離の
単位はヤードだったりします。
生活のほとんどが一つの国の中で完結するような生活であれば、それぞれの
国が独自の単位を使っていてもさほど問題にはなりませんが、国をまたぐ活
動が活発になると、国毎にまちまちの単位を使っていては面倒でたまりませ
ん。メートル条約はそうした不便を無くそうと、国々の単位を統一しようと
いう条約でした。
この条約が結ばれた1875年は今から考えると 130年とちょっと昔のことです
が、今から見れば、わずか 1世紀とちょっと前まではそんな基本的なことも、
国毎にまちまちだったことは驚きですね。
◇「メートル」はフランス生まれ
メートル法条約の締結を訴えたのがフランスだったことからもわかりますが、
この「メートル」はフランス生まれです。
このメートルですが、その長さの基準は地球でした。
地球の北極から赤道までの子午線の長さの1000万分の1
というのが 1メートルの長さです。
フランスでは、フランス革命後の憲法制定議会において、
永久的・絶対的な度量衡の基準を定める
という決議がなされたことから、「永久的・絶対的な」長さの単位として地
球を基準とした 1メートルというものを考え出しました。
長さの基準をそれまで多くの国が採用してきた、王様の腕の長さだとか、足
のサイズといった普遍的とはいえないものから、地球という少なくとも地球
に住む私たちから見れば普遍的なものへと切り替えたのです。
もちろん慣れ親しんだ、生活に密着した単位の切り替えにはどの国も抵抗が
あるでしょうけれど、その辺は単に慣れの問題で、「よその国の王様の腕の
長さを単位とする」というようなものになら感じる心理的な抵抗というよう
なものは地球基準の単位の方が抵抗は少なかったと思われます。
◇地球の子午線の長さ?
「 1メートルは北極から赤道までの子午線の長さの1000万分の 1」と簡単に
書きましたが、ここで問題が一つ。それは、
地球の子午線の長さってどれだけあるの?
それがわからないことです。子午線の長さとは簡単に言えば北極と南極を結
ぶ地球一周の長さです(「北極から赤道まで」の距離の 4倍の長さとなりま
す)。地球という「球体」の外周の長さということも出来ます。地球の外周
と、言ってしまえばそれまでですが、その辺のボールの外周を測るのとはわ
けが違いますからこれは大変。そこで、地球は球なのだからその一部を測れ
ば全周を推定することが出来ると考え、その「一部」を実測することになり
ました。
このとき使われた「地球の一部」はフランス北部のダンケルクとスペインの
バルセロナの間の距離でした。
この二つの都市の位置はほぼ同じ経度(同一の子午線)に有り、それぞれの
天文緯度も
ダンケルク 北緯 51° 2′10.5″
バルセロナ 北緯 41°21′44.8″
と解っていましたから、この間の距離を測れば地球の全周が求まるというこ
とで、この間の1075kmに及ぶ三角測量をドゥランブルとメシェンという二人
の学者が中心となって実施し、その結果から地球の子午線長を求めました。
さて、こうして求められた北極から赤道までの子午線長の1000万分の 1が 1
メートルとなったわけですので、地球の外周は
1000万メートル× 4 = 4 万キロメートル
となります。
実際にこの測量に従事した学者の一人メシェンは、この測量ではまだ十分で
はないとしてさらに測量を継続しようとしましたが、途中で黄熱病に倒れ、
実現されずに終わりました。
現在は地球は球体ではないことも解っていますし、メシェンらが測ろうとし
た北極から赤道までの距離も1000万メートルではなかった(2006年版の理科
年表では、10001.97キロメートル=10001970メートル)。もし、メシェンが
さらに測量を続けていたら、ひょっとすると「1メートル」は今より少しだ
け長いものになっていたかもしれません(0.2mmくらい)。
※現在のSI単位系での、1mは「メートルは、1/299792458 秒の時間に光が真
空中を伝わる行程の長さ」と定義されています。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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