日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■暦と方位神2・金神の間日
昨日は、恐い(と思われた)金神様の遊行(ゆぎょう)する方位は凶の方位
と考えられていること、そしてその方位は年毎に決まっているという話をし
ました。その方位と年の関係は次の通り(昨日のおさらいです)。
・甲(4)と己(9)の年 ・・・ 午・未・申・酉
・乙(5)と庚(0)の年 ・・・ 辰・巳
・丙(6)と辛(1)の年 ・・・ 子・丑・寅・卯・午・未
・丁(7)と壬(2)の年 ・・・ 寅・卯・戌・亥
・戊(8)と癸(3)の年 ・・・ 午・未・申・酉
十干の後の数字は、年を西暦で表したときの下一桁の数字です。今年は2009
年で下一桁が 9なので、十干は「己」の年となり、金神の遊行の方位は、午
・未・申・酉となります。おさらいついでに十二方位を時計の文字盤になぞ
らえると(北を 0時とする)、
子:0 時 丑:1 時 寅:2 時 卯:3 時 辰:4 時 巳:5 時
午:6 時 未:7 時 申:8 時 酉:9 時 戌:10時 亥:11時
と表せるということも昨日書いた話です
昨日の話の終わりに書いたとおり、12方位のうち、少ない年で 2方位、多い
年なら 6方位、その他は 4方位も「凶の方位」となっていては、生活に不便
でしょうがないので、抜け道が考案されました。
その抜け道が本日の話、金神の間日(まび)です。
金神は、年毎にその居場所が決まっているのですが、時々短期間別の方角に
遊行することがあります。金神のいる方位が凶の方位と言うことですので、
金神が別の方位に遊行しているとすれば、その遊行先を避ければよいことに
なります。そんな間日ですが、金神についてはこの間日が 4種類あります。
では、一つずつ見てみることにしましょう。
◇A方式:日の干支による間日
六十日ごとに巡っている日の六十干支と金神の遊行先は次のようになります。
・甲寅〜戊午 ・・・ 南
・丙寅〜庚午 ・・・ 西
・戊寅〜壬午 ・・・ 中央(家内の意味)
・庚寅〜甲午 ・・・ 北
・壬寅〜丙午 ・・・ 東
それぞれの期間は 5日です。対応する方位は金神が遊行している方向ですか
ら上記の期間、この方位は「凶」となりますが、その他の方位は差し障りが
無いと言うことになります。
◇B方式:季節と日の干支による間日
次の間日は、季節と日の干支で決まります。
・春:乙卯〜己未 ・・・ 東
・夏:丙午〜庚戌 ・・・ 南
・秋:辛酉〜乙丑 ・・・ 西
・冬:壬子〜丙辰 ・・・ 北
ここでいうところの春夏秋冬は暦の上での季節。つまり立春から立夏の一日
前までが春と言うときの季節です。方位については日の干支による間日と同
じく「凶」の方位を示しています。
◇C方式:四季ごとの「金神の間日」
既に登場した二種類の間日と違ってこちらはかなり単純で、次の条件に該当
する日は、金神の障りの無い日とされます。
春:丑の日 夏:申の日 秋:未の日 冬:酉の日
金神様もその活動をお休みになる日があるということでしょうか。
ちなみに、狭義に「金神の間日」という場合は、C方式の金神の間日を指し
ます。
◇D方式:その他の間日
これは、凶神である金神と同じ方向に、吉神が遊行して来た場合、その吉神
の力によって、凶神の金神の力を押さえる(「制化する」というそうです)
場合です。
ただし、吉神が同じ方位に居れば必ず凶神の力を押さえられるかというと、
そうとばかりは言えないようで、どの神様の組み合わせなら効果があり、ど
の神様とだと押さえ込めないのかといった考えはそれこそ、
そうした吉凶判断を行う者たちの流派によってまちまち
と言った塩梅。こうなるとお手上げですね。
◇間日同士の矛盾
さて、間日の 4種類を見てきました(最後の一つはお手上げでしたけど)。
しかし説明をしながらも
何か変だな
という気がします。矛盾があるのです。
最初に説明したA方式とB方式の間日について考えてみましょう。
今年(2009年)の例で考えてみると6/20(丙午)は、
A方式の「壬寅〜丙午」にも、B方式の「夏の丙午〜庚戌」にも合致
ところが、A方式の場合金神は東にいることになっていますが、B方式では
南にいることになります。A方式を信じると、南・西・北の三方向は障りな
しのはずなのに、その「南」がB方式では金神のいる方位、凶の方位という
ことになります。
金神なんていう方位に関係する凶神を作り上げて脅かしてみたものの、その
ままだとあまりに実生活上の不便がつのってしまうので抜け道を考えたけれ
ど、みんながまちまちに抜け道を考えたので、こんな矛盾を生むことになっ
てしまったと言うわけでしょう。
勝手に思いついた抜け道でも禍を避けられるのは、最初から金神の禍なんて
無いからです。
在るはずもないものをあると思って恐れてしまう、迷信なんて種を明かせば
こんなものだということですね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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